ザ・フォックス

アルバム「ザ・フォックス」についての詳細

エルトン・ジョンが1981年にリリースしたアルバム「ザ・フォックス」は、彼の音楽キャリアにおいて重要な一作です。このアルバムは、彼とクリス・トーマスとの初のコラボレーションによって生まれました。トーマスは後の作品でも頻繁にエルトンのプロデューサーを務めることになります。

アルバムの特徴

「ザ・フォックス」は、いくつかの新しい楽曲と過去の作品のアウトテイクを組み合わせたものです。具体的には、2、6〜8、10曲目は前作からの未発表トラックが収められています。また、4曲目にはフランス語の「Je Veux De La Tendresse」の英語版カバーが収録されており、このオリジナルはフランスでリリースされました。

特筆すべきは、6〜8曲目がメドレーという形で構成されている点です。このメドレーは、現在のアルバム盤では曲間の区切りがなくなっており、過去のバージョンでは「愛しのクローエ」の前で区切られていました。これによって、各盤の曲数に違いが生じています。

歌詞の制作

アルバム内の楽曲「エルトンズ・ソング」の歌詞は、パンク・ロッカーのトム・ロビンソンによって書かれました。彼はその後、この曲をセルフカバーすることになります。エルトン・ジョンはこの時期、音楽ビデオが流行し始めたことを受け、本作全体を映像化するという画期的な試みを行いました。その映像版は「Vision」というタイトルで販売され、後にLDとしても登場しました。

収録曲リスト

アルバムには、以下の楽曲が収められています：

1. 孤独のバリア - Breaking Down Barriers
2. ハート・インザ・ライト・プレイス - Heart In The Right Place
3. ジャスト・ライク・ベルギー - Just Like Belgium
4. 恋は、はかなく - Nobody Wins
5. ファシスト・フェイセズ - Fascist Faces
6. カーラのエチュード - Carla Etude (インストゥルメンタル)
7. ファンファーレ - Fanfare (インストゥルメンタル)
8. 愛しのクローエ - Chloe
9. ヒールズ・オブ・ザ・ウィンド - Heels Of The Wind
10. エルトンズ・ソング - Elton's Song
11. ザ・フォックス - The Fox

各曲の作詞は、バーニー・トーピン（3,5,9,11曲目）、ゲイリー・オズボーン（1,2,4,8曲目）、トム・ロビンソン（10曲目）が担当しました。作曲は主にエルトン・ジョンが手掛けていますが、4曲目はJean-Paul Dreauによるものです。

参加ミュージシャン

「ザ・フォックス」には、多くの優れたミュージシャンが参加しています。エルトン・ジョン自らがボーカルとピアノを担当し、他にもジェームズ・ニュートン・ハワードがシンセサイザーやオーケストラのアレンジを行っています。ナイジェル・オルソンやアルヴィン・テイラーらのドラマー陣、ディー・マレイやレジー・マクブライドのベースプレイヤーなど、多彩なメンバーが揃い、音楽に豊かな深みを与えています。また、ロンドン交響楽団が参加している点も特筆すべきです。

製作チーム

アルバムのプロデューサーはクリス・トーマスとエルトン・ジョン、クライヴ・フランクスによるものです。アートディレクションをリチャード・セイレーンが手掛け、写真撮影はエリック・ブラムとテリー・オニールが担当しました。

「ザ・フォックス」は、エルトン・ジョンの多才な音楽性と、共演者たちの技術的なサポートが見事に融合した名作として、今も多くのリスナーに愛されています。

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