シケモクとクズと花火と

シケモクとクズと花火と

2025年に公開が予定されている日本映画『シケモクとクズと花火と』は、広島県を舞台に、異なる背景を持つ三人の男女が奇妙な事件をきっかけに心を通わせていく人間ドラマです。監督は山岸謙太郎、脚本は弥重早希子が手掛け、主演として遠藤祐美、仲野温、森美雨が名を連ねています。

物語の中心となるのは、広島にある居酒屋「まめすけ」で働くフリーター、杉山末子（演：遠藤祐美）。34歳になる彼女は、これといった夢や目標もなく、恋人もいない日々に停滞感を抱え、周囲や世間に対して毒づくことで鬱屈した感情を発散しています。そんな彼女の前に新人アルバイトとして現れるのが、山根朔人（演：仲野温）。24歳の彼は、その整った容姿と抜群のコミュニケーション能力を活かし、インフルエンサーとして活動していますが、SNS上での華やかな振る舞いの裏で虚勢を張り、表面的な人間関係や惰性で続く恋愛に空虚さを感じています。

性格も価値観も正反対、お互いに相容れないと感じていた末子と朔人でしたが、ある晩、二人は偶然、車椅子に乗った老人集団による不可解なリンチ現場を目撃してしまいます。この衝撃的な事件をきっかけに、謎を秘めた少女アコ（演：森美雨）が二人の生活に現れます。

予期せぬ出来事に巻き込まれ、共にトラブルに直面する中で、末子、朔人、アコの三人は否応なく関わりを深めていきます。それぞれが抱える孤独や葛藤を抱えながらも、互いに影響を与え合い、助け合い、やがて確かな絆を築き上げていく過程が、本作の大きなテーマとなっています。生きることに不器用な人々が、困難な状況下で繋がりを見出し、互いの存在によって新たな一歩を踏み出す姿が描かれます。

主演の三人に加え、櫻井みどり役を東ちづる、松岡忠徳役をGIN、宮本役を柿辰丸、ミク役を塚本恋乃葉が演じるなど、個性豊かなキャスト陣が脇を固めます。

制作は「BC3cプロジェクト」が担当。企画・プロデューサーは水野上雄一、前田和紀、平下洋一郎が務めました。撮影は古屋裕規、照明は村地英樹、録音は清水良樹、美術は荒田未来が担当するなど、多くのスタッフが作品を作り上げています。特に、本作は広島県内でのオールロケ敢行され、地域の風景が物語に深みを与えています。撮影は2024年12月9日に始まり、2025年3月上旬に完成予定です。

音楽（劇伴）はクスミヒデオが手掛け、主題歌には近藤夏子の「Good day by day」が採用されています。この楽曲が、登場人物たちの心情や物語の展開をどのように彩るのかにも注目が集まります。

公開は、2025年にまず広島県内で先行公開された後、全国での公開が予定されています。生きづらさを抱える現代人が、他者との出会いを通じて希望を見出していく姿を描く『シケモクとクズと花火と』は、観る者に共感と感動を与える作品となることでしょう。

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