シボ加工

シボ加工とは

シボ加工とは、素材の表面に意図的に微細な凹凸模様（シボ）を付ける表面処理技術のことです。この加工は、製品の外観を向上させるだけでなく、触感や機能性も高めるために用いられます。

シボ加工の概要

元々は、皮革製品の表面に見られるシワ模様を「シボ」と呼んでいました。革にシワを付ける行為自体を「シボを付ける」と表現します。繊維業界では、ちりめんなどの織物を揉んだり絞ったりしてシワを付けることを「シボ付け」といい、この加工を施した織物を「シボ織物」と呼びます。

ここから派生し、プラスチックや金属などの成形品に、金型の表面に施した凹凸模様を転写する加工を「シボ加工」と呼ぶようになりました。金型表面のシボ加工は、エッチングによる化学処理やサンドブラスト、研磨処理などの物理処理によって行われます。

シボ加工の効果

シボ加工によって、製品には以下のような効果が付与されます。

高級感の演出: 独特の模様が、製品に上質な印象を与えます。
触感の向上: 表面の凹凸が、滑り止め効果と心地よい触感をもたらします。
傷や汚れの隠蔽: 微細な凹凸が、指紋や傷を目立たなくします。
成形性の向上: ウェルドラインやヒケを隠し、離型を容易にします。

シボ加工の種類

シボ加工で作り出される模様には、様々な種類があります。代表的な模様として、以下のようなものが挙げられます。

皮革模様: 皮革の表面に見られるような、ウロコ状の模様。
梨地模様: 梨の表面のような、ザラザラとした質感の模様。
木目模様: 木の表面を模した模様。
岩目模様: 岩肌のような、自然な風合いの模様。
砂目模様: 砂のような、細かい粒状の模様。
布目・絹目模様: 布地や絹の表面を模した模様。
* 幾何学模様: 様々なパターンを組み合わせた模様。

梨地

梨地（なしじ）は、梨の表面のようにザラザラとした状態を指します。伝統工芸では、織物や蒔絵の加工に用いられてきました。現在では、金属やプラスチックの表面処理に広く用いられています。

梨地は凸状の模様であるのに対し、サンドブラスト仕上げは凹状の模様になる点が異なります。また、プラスチック成形品の梨地模様は規則性がありますが、サンドブラストはランダムな模様になります。

ガラスやビニールシートにも、梨地と呼ばれる凸凹処理が施されることがあります。

ヘアライン仕上げ

ヘアライン仕上げは、表面に平行な細い線が入るように処理する加工です。紙やすりなどで一定方向に研磨した際にできる模様で、筋目やシルクラインとも呼ばれます。記号としてHLと略されることもあります。

類似した表面加工

シボ加工と似た表面加工として、以下のようなものがあります。

つや消し

つや消し塗料は、表面が梨の皮のようにデコボコになるように大粒の顔料を含んでいます。塗料を使わないマット仕上げや艶消しもあり、例えば、布地のような凸凹をつけた印画紙は絹目と呼ばれ、その上に画像処理をしたものはマット仕上げと呼ばれます。押し出し成形されたアルミ材へのマット仕上げなどもあります。

すりガラス（曇りガラス）・型ガラス

すりガラスは、サンドブラストで物理的に傷をつけたり、フッ化水素酸で溶かしたりして表面を曇らせたものです。型ガラスは、型で模様を転写したガラスです。

まとめ

シボ加工は、製品の外観、触感、機能性を向上させる多岐にわたる効果を持つ表面処理技術です。模様の種類も豊富で、様々な製品のデザインに活用されています。類似の表面加工と比較することで、それぞれの特徴がより理解できるでしょう。

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