ショットピーニング

ショットピーニング（Shot Peening）

ショットピーニングは、機械加工の一手法であり、金属表面に高速度で小さな金属球を衝突させることにより、塑性変形を利用して材料の特性を向上させるプロセスです。この技術は、金属の加工硬化と圧縮残留応力の導入を目的としており、特に自動車や航空機の部品に広く使用されています。

加工方法

この加工法では、ショットと呼ばれる小さな粒状物質が使われます。これらは、空気圧や遠心力を利用して被加工物に向けて投射され、衝突することで表面を加工します。ショットの種類は、被加工物や求められる性能によって適切に選ばれる必要があります。特に、ショットの比重、粒度、硬さは、加工において重要な要素です。例えば、鋼球ショットの直径は一般に0.2mmから4mmの範囲であり、これらが40m/sから数百m/sの速度で衝突します。

ショットによって被加工物の表面には加工硬化が生じ、金属組織が変化します。この際、ショットの衝突により表面が凹み、同時に周囲の固定部分によって拘束されるため、圧縮残留応力が発生します。硬化層の深さは、衝突する鋼球の大きさと速度によって制御されます。大きな鋼球を使用すると深い硬化層が得られ、小さな鋼球では浅いが硬い硬化層が形成されます。

ショットピーニングと似たような手法に、サンドブラストやショットブラストがありますが、これらは主に表面の研削や付着物の除去を目的としているため、用途が異なります。また、ショットピーニングは冷間加工の一種に分類され、他の冷間加工手法と同様の効果を持つことがあります。

効果

ショットピーニングの主な効果は、加工硬化と圧縮残留応力の生成の結果、材料の疲労強度、耐摩耗性、そして応力腐食割れに対する抵抗力が向上する点です。これにより、金属部品は過酷な環境下でも効果的に機能します。また、放熱効率や流体抵抗の低減といった別の利点もあることが研究されています。

ただし、ショットピーニングはすべての条件下で有効というわけではありません。特に、腐食疲労の場合、高応力下での低繰り返し数の破壊では強度が向上する一方、低応力下での高繰り返し数の破壊条件ではショットピーニング層が腐食に敏感になることがあり、結果的に疲労強度の向上が見られないこともあります。また、適切な潤滑状態によっては、未処理の部品よりも耐摩耗性や摩擦特性が悪化することもあるため、実施条件に見合ったショットピーニングの選定が求められます。

さらに、ショットピーニングによって被加工物の表面に微細なディンプルを形成し、その結果フリクションを低減するというテクスチャリング効果も研究されています。

採用例

ショットピーニングは、自動車部品や航空機のエンジン部品、歯車、ばね、クランクシャフト、コネクティングロッド、さらには化学プラントの圧力容器などで広く利用されています。特に、ばねに関しては疲労強度の向上を目的として、非常に一般的に使用されています。

このように、ショットピーニングは金属加工における重要な技術であり、その効果的な利用は様々な分野での部品性能向上に貢献しています。

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