ジャスパー・モリソン

ジャスパー・モリソン（Jasper Morrison, 1959年 - ）は、イギリス・ロンドン出身のプロダクトデザイナーです。ロイヤル・カレッジ・オブ・アート（ロンドン王立芸術学院）でデザインを学んだ後、ベルリンでも研鑽を積みました。1986年には自身のデザイン事務所である「Office for Design」を設立し、本格的にデザイナーとしての活動を開始しました。

彼は東京、ロンドン、パリといった国際的な都市に居住しながら、世界各地を飛び回り、多様なプロジェクトを手がけています。そのデザイン領域は非常に幅広く、家具や照明器具などの生活用品から、公共交通機関に至るまで多岐にわたります。彼の作品には、簡潔さ、機能性、そして普遍的な価値を追求する姿勢が強く表れています。

モリソンのデザインの特徴は、過度な装飾を避け、素材そのものの美しさや機能性を最大限に引き出す点にあります。彼は、その時代にだけ流行するようなデザインではなく、長く人々に愛され、使い続けられる「普遍的なデザイン」を追求しています。彼のデザイン哲学は、単なる見た目の美しさだけでなく、使いやすさ、耐久性、そして環境への配慮にも重点を置いています。

代表的な作品として、MAGIS社の「Air-Chair（エアチェア）」、Vitra社の「Ply-Chair（プライチェア）」、FLOS社の「Glo-Ball（グロボール）」などが挙げられます。これらの作品は、シンプルでありながらも、高い機能性と洗練された美しさを兼ね備えています。また、無印良品のデザインも手がけており、「ふっくら成型ソファ」や「置き型時計」など、日々の生活に溶け込むような、シンプルで使いやすい製品を数多く提供しています。

さらに、ドイツ・ハノーファー市のトラム「TW 2000」のデザインも担当しました。このプロジェクトは、iFデザイン賞、運送デザイン賞、エコロジー賞を受賞しており、デザインの力で公共交通機関をより快適で、環境に配慮したものに変える可能性を示しました。近年では、白井屋ホテルの宿泊室のデザインも手がけるなど、その活動は多岐にわたっています。

ジャスパー・モリソンは、その独自の視点とデザイン哲学によって、現代のプロダクトデザインに大きな影響を与えています。彼の作品は、シンプルさの中に深い思考と美学が込められており、世界中の多くのデザイナーや一般の人々に支持されています。常に変化し続ける現代社会において、彼が追求する普遍的なデザインは、長く人々に愛され続けるでしょう。

参考文献として、杉本貴志、原研哉、深澤直人編著の『家 家の話をしよう』(株式会社良品計画、2007年)の140-143頁で、ジャスパー・モリソンのデザイン哲学と作品について詳しく紹介されています。

彼の活動についてさらに詳しく知りたい場合は、Jasper Morrison Ltdの公式ウェブサイトをご覧ください。

もう一度検索