ロイヤル・カレッジ・オブ・アート

ロイヤル・カレッジ・オブ・アート（RCA）

ロイヤル・カレッジ・オブ・アート（Royal College of Art、略称：RCA）は、イギリスのロンドンに位置する国立[[大学]]院大学です。学士課程は設置されておらず、修士号（M.A.、M.Des.、M.Phil.）および博士号（Ph.D.）を授与する、美術分野における最高峰の教育機関の一つとして知られています。

RCAは、その卓越した教育水準により、QS世界[[大学ランキング]]においてアート・デザイン分野で10年連続世界1位を獲得し、世界最高の美術系大学としての地位を確立しています。学生数は比較的少ないながらも、その名声はデザイナーや美術家の間で広く知れ渡っており、超名門校として認知されています。伝統的なアート・デザイン領域に加え、近年ではSTEAM教育やスタートアップの育成にも力を入れている点が特徴です。

沿革

RCAの歴史は1837年、官立デザイン学校（Government School of Design）として設立されたことに始まります。1852年にはリチャード・バーチェットが校長に就任し、翌年には組織を拡大し、国立美術訓練学校（National Art Training School）へと名称を変更、マルボローハウスへ移転しました。1857年にはサウス・ケンジントンに移り、女子美術学校とは別の建物に入りました。

1896年に現在の「ロイヤル・カレッジ・オブ・アート」に改称されましたが、19世紀の間は、その所在地からサウス・ケンジントン学校（South Kensington Schools）とも呼ばれていました。当初、教員養成を主な目的としていましたが、この時期にはジョージ・クラウゼン、クリストファー・ドレッサー、ルーク・フィルズ、ケイト・グリーナウェイ、ガートルード・ジーキルなど、後の美術界を担う人材が在籍していました。

1896年の改名以降、RCAはアート・デザインの実技を重視する教育方針へと転換しました。20世紀半ばにはグラフィックデザイン、インダストリアルデザイン、プロダクトデザインなどの分野が導入され、教育内容が拡充されました。1960年代には大学としての規模を拡大し、1967年には英国王室憲章を授与され、独立した大学として学位授与権を得ました。

RCAは、1920年代に近代イギリス彫刻が誕生する上で重要な役割を担い、1960年代のポップ・アートの発展にも大きく貢献しました。

キャンパス

RCAは、ロンドン中心部のサウス・ケンジントン、バターシー、ホワイトシティにキャンパスを構えています。ケンジントン・ゴアにある本部棟は1960年代に建設され、第二級指定建築物となっています。この本部棟は、RCAの教員であったヘンリー・トーマス・キャドバリー＝ブラウン、ヒュー・カッソン、ロバート・グッデンのチームによって設計されました。

2020年から2021年にかけては、建築事務所Herzog & de Meuronの設計による新棟がバターシーキャンパスの南側に建設され、ケンジントンとホワイトシティに分散していたキャンパスが集約される予定です。

学科

RCAでは、アニメーション、情報経験デザイン、ジュエリー、インテリアデザイン、文章構成（ライティング）、建築、絵画、彫刻、自動車デザイン、キュレーション、写真、コミュニケーションデザイン、イノベーションデザイン工学、サービスデザイン、テキスタイル、ファッション、陶芸など、多岐にわたる分野を学ぶことができます。

デザイン史専攻の修士課程（M.A.）は、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館との共同プログラムとして提供され、イノベーション・デザイン・エンジニアリングの修士課程（M.A./M.Sc.）はインペリアル・カレッジ・[[ロンドン]]との共同プログラムとして実施されています。

2013年には、RCAとインペリアル・カレッジ・[[ロンドン]]は、グローバル・イノベーション・デザイン連携プログラムを設立し、学生は海外提携校での授業を受ける機会を得ています。提携先には、アメリカのプラット・インスティテュート、日本の慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科、そして、中国の清華大学、シンガポールの南洋理工大学などがあります。

評価

2008年の研究評価事業（Research Assessment Exercise）において、RCAの研究業績全体の40%が最高評価を獲得し、美術系分野で3番目に高い評価を得ました。また、2011年の『モダン・ペインターズ』誌の調査では、イギリスの美術大学トップに選出されるなど、RCAはその卓越した教育と研究活動が高く評価されています。

主な出身者

RCAは、美術、デザイン、映画など様々な分野で活躍する著名な卒業生を多数輩出しています。

ヘンリー・ムーア（彫刻家）
リドリー・スコット（映画監督）
デイヴィッド・ホックニー（画家）
ジェームズ・ダイソン（ダイソン社創業者）
ジャスパー・モリソン（デザイナー）
スプツニ子！（アーティスト）
田川欣哉（デザインエンジニア）
長谷川愛（アーティスト、デザイナー）

その他にも、多くの著名なアーティスト、デザイナー、建築家がRCAの卒業生として活躍しています。また、クリストファー・ベイリー（バーバリー社CD）やイアン・カラム（カーデザイナー）、面矢慎介（デザイン史家）など、各界を代表する人材を輩出しています。

歴代の教員

RCAでは、著名なアーティストやデザイナーが教鞭を執ってきました。

フランシス・ベーコン（画家）
クェンティン・ブレイク（児童文学作家・イラストレーター）
リチャード・ハミルトン（画家）
エドゥアルド・パオロッツィ（彫刻家・美術家）
ジリアン・ネイラー（デザイン史家）

脚注

RCAは、その長い歴史と卓越した教育によって、世界のアートとデザインの分野を牽引し続けています。

参考文献

Christopher Frayling, The Royal College of Art: 150 Years of Art & Design (1987)

外部リンク

Royal College of Art website
History and architecture of the RCA from the Royal Institute of British Architects
Royal College of Art (@RCA) - X（旧Twitter）
Royal College of Art (@royalcollegeofart) - Instagram
* Royal College of Art (RCA.London) - Facebook

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