ジャップ

ジャップ (Jap) とは

「ジャップ（Jap）」という言葉は、英語で日本人を指す「Japanese」の略語です。しかし、単なる略語としてだけでなく、日本人に対する差別的な意味合いを持つ言葉としても使われます。特に、第二次世界大戦中には、敵国である日本に対するプロパガンダとして、この言葉が頻繁に使われました。

歴史的背景

「ジャップ」という言葉は、元々は「Japanese」の短縮形として使われていました。しかし、1930年代に入ると、アメリカで日系移民排斥の動きが強まり、この言葉が蔑称として使われるようになりました。そして、1941年の真珠湾攻撃をきっかけに、アメリカ社会全体に広まりました。第二次世界大戦中には、抗日プロパガンダの中で、「ジャップ」という言葉が頻繁に使われ、日本人を敵視する感情を煽りました。

現在の使用状況

現在では、「ジャップ」という言葉は、一般的に差別用語として認識されており、公の場で使われることはほとんどありません。しかし、歴史的な背景から、特に日系アメリカ人の中には、この言葉を非常に侮蔑的なものとして捉える人が少なくありません。そのため、この言葉を使う際には、注意が必要です。

各国での使用例

アメリカ

太平洋戦争中、アメリカでは「ジャップ」という言葉が抗日プロパガンダの中で多用されました。例えば、ジョン・L・デウィット中将は、「A Jap's a Jap, and that's all there is to it.（ジャップはジャップ。それ以上の何者でもない）」という言葉を残しています。また、戦時中には「Nip」（Nipponの略）という言葉も、日本軍に対する蔑称として使われましたが、「ジャップ」の方がより侮蔑的な意味合いを持っていました。

北朝鮮

2003年、国連総会において、北朝鮮の代表が、日本を「Jap」と呼びました。これは、日本代表が北朝鮮を「North Korea」と呼び続けたことへの抗議でした。また、2017年には、北朝鮮が日本に対して、「Jap」という言葉を使って非難声明を出しました。これは、北朝鮮が日本を敵視していることを示す例として挙げられます。

オーストラリア

オーストラリアでも、「ジャップ」という言葉が蔑称として使われることがあります。例えば、捕鯨問題に関する抗議活動の中で、「SAVE A WHALE, HARPOON A JAP（クジラを救え、ジャップに銛を打ち込め）」というスローガンが掲げられたこともあります。ただし、オーストラリアでは、「Jap Pumpkin」（日本かぼちゃ）のように、単に「Japanese」の略語として使われることもあります。

ドイツ・ポーランド

ドイツ語版とポーランド語版のウィキペディアでは、日本語の略称として「jap」が使われています。これは、単なる略語として使用されている例です。

「ニップ (Nip)」という言葉

「ジャップ」と似たような蔑称として、「ニップ（Nip）」という言葉があります。これは「Nippon」（日本）の略語ですが、第二次世界大戦中には、「ジャップ」と同様に、日本人に対する蔑称として使われました。「ニップ」も侮蔑的な意味合いを持つ言葉ですが、「ジャップ」の方がより強い侮蔑的な意味合いを持つと考えられています。

その他の事例

• - ジャップ・ミカド：アメリカの独立巡業プロ野球チームで、日本人選手につけられたニックネーム。
• - 漫画『バランサー』：当初のタイトルが「ジャップ」であったが、編集部の意向で変更された。
• - ポール・マッカートニーの楽曲「Frozen Jap」：アルバム発売前にポール・マッカートニーが大麻所持で逮捕されたこともあり、日本人から反感を買った。日本盤では「Frozen Japanese」に変更された。

まとめ

「ジャップ」という言葉は、元々は「Japanese」の略語でしたが、歴史的な背景から、日本人に対する差別用語として使われるようになりました。現在では、この言葉を使うことは避けるべきであり、特に日系人の前では絶対に使うべきではありません。言葉の背後にある歴史を理解し、差別的な表現を避けるように心がける必要があります。

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