ジャパニズム

『ジャパニズム』の概要と特徴

『ジャパニズム』は、青林堂が発行していた保守系の雑誌で、幅広い分野の寄稿や記事を特徴としています。2011年4月26日の創刊以来、隔月で刊行が続き、多くの政治評論家、ジャーナリスト、政治家などが寄稿していました。変化する世の中において、日本の独自性や文化を再生させようという思いを込められたキャッチフレーズ「再生、日本の、底力」が、誌全体のコンセプトを象徴しています。

編集体制とテーマ

創刊号から参考文献を重ねながら、初期の3号では西村幸祐が、8号から11号にかけては古谷経衡が編集長を務め、各号ごとに特色ある内容が掲載されていました。誌面には、政治だけでなく、アニメや漫画といったサブカルチャーにも力を入れており、特に若い世代をターゲットにした連載漫画の単行本化も行われました。これは若者に向けた新たなアプローチの一環であり、リーダビリティの向上にも寄与しました。

ビジュアルとアート

表紙のデザインにもこだわりがあり、創刊から第17号まではイラストレーターのゆきうさぎが担当し、その後の28号からはすみとしこが手掛けました。これにより、ビジュアル面でも読者の興味を引くことに成功しました。

休刊とその背景

しかし、2020年2月10日の53号で休刊が発表され、同誌はその歴史に幕を閉じました。その理由としては、雑誌の市場環境や読者層の変化、または発行元である青林堂の運営方針などが影響を及ぼしていると考えられます。ウェブサイト上での情報更新も、53号発刊前の2019年12月で止まっており、その寂しい終焉を痛感させます。

連載漫画の一覧

『ジャパニズム』では、さまざまな連載漫画が展開されていました。特に人気があったのは、富田安紀子の「英霊たちの肖像」や孫向文の「アマテラスの翼」です。また、他にも多くの作品が連載されていましたが、その中で「テコンダー朴」や「愛国少女ウヨ子ちゃん」、さらには「まんがで読む古事記」といった作品もあり、漫画を通して保守的な視点を伝える手段として機能していました。

批判と議論

一方で、雑誌はそのスタンスゆえに多くの議論や批判も受けました。漫画家の小林よしのりは、同誌に対して強い批判を表明しており、特に在特会を擁護する姿勢を問題視しました。彼は、雑誌が掲載した桜井誠へのインタビューや、在特会関連の特集について、「在日問題に対する主張を否定する読者は少ないだろう」とのリード文は、読者層が人種差別を嫌っていることを示唆するものであり、全体として在特会と同じ考えを持つ者が多いと指摘しました。

また、小林は青林堂という出版社自身についても批判し、過去の栄光と現在の状況との乖離を指摘しました。さらに、同社内でのパワハラや未払い賃金などの問題も取り上げ、雑誌の理念に裏打ちされた信頼が失われつつあることに警鐘を鳴らしました。

総括

『ジャパニズム』は、日本の保守的手法を模索し続けた誌であり、その存在は多くの人々に影響を与えていました。サブカルチャーへのアプローチや多様な寄稿は新たな議論を生み出しましたが、その反面、強い批判も呼んでいたことは否めません。雑誌の休刊は、その時代背景や社会状況を反映したものであり、今後の日本における言論のあり方を深く考えさせる契機となるでしょう。

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