ジャンボキングダム

ジャンボキングダム：香港を彩った水上レストランの栄華と終焉

ジャンボキングダム（Jumbo Kingdom、珍宝王国）は、かつて香港の深湾に浮かんでいた、豪華絢爛な中華料理水上レストランです。その象徴的な外観は、まるで竜宮城のようであり、香港仔（アバディーン）の湾内において、一際目立つ存在でした。

構成

ジャンボキングダムは、「ジャンボフローティングレストラン（珍寶海鮮舫）」と「タイパックフローティングレストラン（太白海鮮舫）」という2隻の船から構成されていました。しかし、実際のレストランは水に浮かんでいるのではなく、コンクリートの土台で支えられていました。

歴史

初期：水上レストランの隆盛

第二次世界大戦後、アバディーン湾には水上レストランが数多く登場しました。最盛期には10軒もの店が軒を連ね、その中で「タイパック」は1952年に建造されました。

1971年の火災と再建

1971年10月30日、建設中の「ジャンボ」で火災が発生し、34人が死亡、42人が負傷するという痛ましい事故が起こりました。
その後、「ジャンボ」は実業家のスタンレー・ホーによって4年の歳月と3,000万香港ドルをかけて再建され、1976年10月に開業しました。当初は古代中国の宮殿を模した内装が施されていました。

拡張と変遷

1978年、アバディーンの埋め立てに伴い、「ジャンボ」は現在の場所に移設されました。1980年には「海角皇宮（Sea Palace Floating Restaurant）」を、1987年には「タイパック」を買収し、規模を拡大しました。
1997年の金融危機後、「海角皇宮」はフィリピン（またはオーストラリア）へ売却されました。

マニラへの進出と撤退

1999年末には、「ジャンボ」の船舶の一つがフィリピンのマニラ湾へ運ばれ、「ジャンボキングダムマニラ」として2005年4月に開業しました。しかし、2008年には閉店してしまいました。

リブランドと閉鎖

2002年、メルコグループの傘下に入り、2003年には大規模な改修が行われました。その後、「ジャンボ」と「タイパック」は「ジャンボキングダム」としてリブランドされました。
2019年以降は、香港民主化デモの影響や新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響を受け、観光客が激減。2020年3月3日、事実上の閉店となりました。

曳航中の沈没

2022年6月14日、「ジャンボ」は香港を離れ、カンボジアへ曳航されました。しかし、6月20日、南シナ海の南沙諸島付近で沈没したと発表されました。その後、運営会社は「転覆した状態にある」と訂正発表しましたが、その姿を再び見ることは叶いませんでした。

みどころ

ジャンボキングダムには、様々な魅力的な施設がありました。

トップデッキ：かつてはレストランとバーがありましたが、現在は閉鎖されています。
ドラゴンコート：本格的な広東料理を提供する高級レストラン。
クッキングアカデミー：ジャンボキングダムのシェフが教える中華料理学校。
サンパンダイニング：香港の古い時代の食事を再現した海鮮料理。
その他：中国茶園、ピアプラザ、ブロンズウェア展、ワインガーデンなど。

また、ジャンボキングダムの4階には、香港の伝統的な軽食を提供する「SOキーコーヒーショップ（蘇記茶檔）」がありました。

大衆文化

ジャンボキングダムは、その独特な外観から多くの映画のロケ地としても使用されました。

映画：「プロテクター」（ジャッキー・チェン主演）、「食神」、「ゴジラvsデストロイア」、「インファナルアフェアII」など。
その他：「燃えよドラゴン」など

また、ジャンボキングダムと同場所にあった「シーパレス」も「The World of Suzie Wong」、「007 黄金銃を持つ男」などの映画に登場しています。

アクセス

ジャンボキングダムへは、アバディーンプロムナードまたはシャムワン桟橋からシャトルボートで無料でアクセスできました。

脚注

かつて香港の象徴的な存在であったジャンボキングダムは、その豪華さ、歴史、そして悲劇的な結末により、多くの人々の記憶に残る存在です。

関連項目

水上レストラン

外部リンク

* 香港のウェブサイト

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