ジョン・ロビンソン

ジョン・ロビンソン: 初期分離派運動の指導者

ジョン・ロビンソン（1575年 - 1625年）は、イングランドの会衆派教会の牧師として名を馳せ、初期分離派運動の中心的なフィギュアです。彼は、オランダで「巡礼始祖」として知られる信徒たちの出発を準備しました。ロビンソンは、彼の生涯を通じて信仰の自由を求め続け、多くの人々に影響を与えました。

生涯と宗教的歩み

ロビンソンは1592年にケンブリッジ大学のコルプス・クリスティ・カレッジに入学し、学業を終えた後はこのカレッジで教鞭をとりました。彼の教員生活は12年に及び、その後、ノリッジで牧師として活動を始めます。しかし、国教会の方針に従わなかったために解職され、やがて分離派の教義を広める活動に取り組むことになります。

ロビンソンは、当時の宗教的抑圧の中で多くの制約を受け、特にジェームズ1世の治世においてはその影響が顕著でした。こうした状況に耐えかね、彼はオランダへの移住を計画しますが、1607年の脱出は失敗に終わり、その結果として投獄される事態に陥りました。しかし、1608年に再挑戦し、信徒たちと共にアムステルダムへ脱出することに成功しました。ところが、アムステルダムの華やかさは教団には不向きだと考え、ロビンソンはライデンに拠点を移しました。

アメリカへの移住計画

教団が行き詰まりを感じる中、ロビンソンはアメリカ大陸への移民の可能性を探ります。彼はヴァージニア・カンパニーの支援を得て、移住の準備を進めました。しかし、当時の船では全員を一度にアメリカに運ぶことができなかったため、段階的な渡航が必要でした。高齢だったことや、残った信徒たちをまとめるために彼はライデンに留まり、移住計画の指導を続けました。

1620年、最初の移民団がスピードウェル号に乗ってアメリカを目指しますが、途中で船が故障し、イングランドからの別の船メイフラワー号と合流することになります。メイフラワー号には、ロビンソンの信徒だけでなく、宗教的情熱を持たない人々も乗船しており、多様なバックグラウンドを持つ人々が集結していました。

最終的に、先発隊はプリマス植民地の設立に成功しますが、ロビンソンはその時不在であり、牧師不在の状態で共同体は運営されなければなりませんでした。その後、ロビンソンはアメリカへの渡航を果たせぬまま、1625年に病気により亡くなりました。彼の信念と行動は、後の信徒たちに多大な影響を与え、アメリカの歴史の中で彼の存在は忘れ去られることはありませんでした。

参考文献

• - 大西直樹 『ピルグリム・ファーザーズという神話』 講談社選書メチエ、1998年
• - 綾部恒雄編 『結社の世界史5 クラブが創った国 アメリカ』 山川出版社、2005年

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