ジョージ・シスラー

ジョージ・ハロルド・シスラー

ジョージ・ハロルド・シスラー（George Harold Sisler, 1893年3月24日 - 1973年3月26日）は、アメリカのプロ野球選手で、一塁手として名を馳せました。オハイオ州マンチェスター出身で、左投左打の選手です。「ゴージャズ・ジョージ」という愛称を持ち、メジャーリーグ史上まれに見る4割打者として知られます。彼の記録は84年間保持され、2004年にイチローによって抜かれるまで、シーズン257安打の記録を持っていました。これまでの打撃成績や彼の城を築いた野球の時代背景を探ります。

経歴

プロ入りとブラウンズ時代

シスラーはミシガン大学からセントルイス・ブラウンズに入団。1915年には85試合に出場し、打率.285、3本塁打という成績を残しました。投手としての才能もありましたが、主に一塁手としてのプレーが中心でした。1916年には打率.305を達成し、以降は常に高い打率をキープして成長を遂げました。

1918年には盗塁王に輝き、その後の徴兵による戦争の影響もありつつ、1920年には開幕から絶好調で257安打を打ち、リーグトップの打率.407を記録しました。この功績により彼は首位打者に選ばれ、シーズンの多くの打撃指標で上位に位置しました。

ヒーローの舞台裏

1922年にはタイ・カッブとの熾烈な首位打者争いを繰り広げ、打率.420と246安打を達成し、さらに51盗塁も記録してMVPに輝きました。この打率は、近代野球において数少ない高値であり、特に絶望的な状況においてはなかなか捉えられない記録でした。

一方でシスラーは1923年、目の病気の影響で一年間の欠場を余儀なくされ、復帰後も精彩を欠くようになりました。1924年からは選手兼任監督として再出発し、守備や走塁に影響が出ながらも打率は維持していましたが、ついに1926年には3割を切る結果となりました。

セネターズ時代とブレーブスでのラストシーズン

1928年にはワシントン・セネタースに移籍し、その後はボストン・ブレーブスで引退まで活躍しました。1930年には37歳で引退し、この年の打率は.309でした。

引退後の活動

引退後はブルックリン・ドジャースのスカウトとして活動し、その際に初の黒人メジャーリーガーとなるジャッキー・ロビンソンを発掘しました。シスラーは、ロビンソンがメジャーリーグで通用する能力と強い意志を持つ選手であると確信し、会長のブランチ・リッキーに推薦しました。

シスラーは1939年にアメリカ野球殿堂入りし、1973年には80歳でこの世を去りました。

人物像

シスラーには3人の子供がいましたが、2人の息子がメジャーリーガーとして活躍しました。シスラー自身は、「ゴージャス」の異名を取るほどの確かな守備力と打撃力を持ち、その精悍な顔立ちから「ジェントルマン・ジョージ」とも称されました。

しかし、彼の記録がある一方で、シスラーの活躍があまり知られなかった背景には、彼が記録を打ち立てた年にベーブ・ルースが登場し、ホームランの時代に突入したという流れがあります。シスラーのようなプレースタイルは、その後の時代では軽視されがちでした。

シスラーの業績は、彼のプレースタイルと比類のない打撃技術に基づいていますが、ホームランばかりが注目される時代においては、地道な努力を要する技術が評価されにくい側面もありました。

ジョージ・ハロルド・シスラーの名は、メジャーリーグの歴史に名を刻み、今なお野球ファンに愛され続けています。

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