ストラップレスドレス

ストラップレスドレスの概要

ストラップレスドレス（英語: strapless dress）とは、肩紐などの支えとなる装飾がなく、上半身にフィットするドレスのことを指します。通常、着用者は内部にコルセットやブラジャーなどを装着することで、このドレスを固定します。これにより、ドレスがずり落ちることなく、美しいシルエットを保つことができます。

歴史的背景

ストラップレスドレスの起源は、1930年代にさかのぼります。リチャード・マーティンやハロルド・コーダによると、現代のストラップレスドレスの先駆けとなるデザインが1930年代に出現したといいます。その後、1940年代後半にメインボッチャーやクリスチャン・ディオールなどの名だたるデザイナーがこのスタイルに注目し、さらなる普及を促しました。特に、1938年に発表された「ライフ」誌の記事は、肩紐や袖が全くないイブニングドレスの存在について報じ、当時のファッションシーンに影響を与えました。しかし、実際には女優リビー・ホルマンが1932年にストラップレスドレスを着用していた写真が残されているため、その存在はより早い時期からあったことが確認されています。

1934年には、メインボッチャーが黒いサテンのストラップレスガウンを設計し、これが初のストラップレスイブニングドレスと見なされています。第二次世界大戦後もストラップレスドレスは人気を維持し、「ネイキッド・ルック」とも称されるスタイルが流行しました。リタ・ヘイワースが映画『ギルダ』で着用したストラップレスドレスは、その大胆さが評価され、多くの場面で注目を集めました。

1950年代から1990年代までの進化

1950年代には、マダム・グレがデザインした流れるようなギリシャ風のストラップレスドレスが話題となりました。このドレスには特注のコルセットが内部に施されており、身体にフィットする構造でした。さらに1970年代には、ホルストンがコルセットを使用していないストラップレスドレスを提案し、チューブトップなどのカジュアルなスタイルも人気を博しました。

1990年代に入ると、ストラップレスドレスはウェディングドレスとしても注目され始めました。特に、ヴェラ・ウォンなどのデザイナーがこのスタイルのブライダルドレスを広め、カジュアルな結婚式での選択肢として浸透しました。ただし、宗教的な意味合いが重視される結婚式では、肩を露出するドレスは物議を醸すこともありました。

社会的認識

ストラップレスドレスは、その独特なデザインから、さまざまな社会的認識を引き起こしています。21世紀に入っても、多くの学校や職場では肩紐のない衣装を着用することに制限があり、2012年の調査では72%のアメリカ人が職場における肩紐のないトップスを不適切と考えています。これは、ストラップレスドレスがもたらす印象や文化的な認識に影響されていると言えるでしょう。

宗教的見解

ストラップレスドレスに対する宗教的な見解もさまざまです。特にムスリムの聖職者は、ストラップレスドレスを「悪魔的」と位置付けている一方で、モルモン教の聖職者からは霊的な観点から着用を避けるべきという声が上がっています。ただし、これらの意見は必ずしもすべての宗教団体に共通する見解ではなく、一部の信者はこれに対して異なる意見を持つこともあります。

ストラップレスドレスは、ファッションの一部としての進化を遂げてきた一方で、社会や文化の中で様々な解釈や拒否の対象にもなってきました。そのスタイルは今もなお、様々な場面で愛され続けています。

もう一度検索