スペアタイヤ

スペアタイヤとは

スペアタイヤは、自動車が走行中にタイヤが使用できなくなった際に備えて装備される予備のタイヤのことを指します。これは通常、ホイールに組み込まれた状態で搭載され、パンクやバーストなどの緊急時に使用されることを目的としています。スペアタイヤには、標準サイズのものと径が小さく応急用のものに分けられます。後者は「テンポラリータイヤ」や「テンパータイヤ」とも呼ばれます。

スペアタイヤの重要性

パンクなどが発生した場合、路上でのタイヤ修理は難しいため、スペアタイヤを持っていることは非常に重要です。あらかじめ装備されたスペアタイヤであれば、ナットやボルトを緩めることで手軽に交換でき、すぐに移動が可能となります。スペアタイヤは主にトランクルームの底部や車体下、エンジンルーム、バックドアなどに収納されます。

定期的な点検が推奨されるスペアタイヤの空気圧は、使用時に充分でないと無駄になってしまいます。特に、ウィンドウウォッシャーの動力に空気圧を利用している場合は、頻繁に点検することが重要です。特に大型自動車においては、タイヤとホイールの重さが増すため、緊締装置の点検も忘れてはいけません。

2017年に発生した事故を受け、国土交通省は大型トラックやバスに対して、スペアタイヤの定期点検を義務付けました。これにより、タイヤの安全性がより重視されるようになりました。

応急用タイヤ

応急用タイヤは、緊急事態に一時的な移動を可能にするために設計されています。このタイヤは標準サイズよりも寸法が小さく、構造も異なるため、使用による走行距離や速度に制限があります。例えば、Tタイプの応急用タイヤは空気圧が420kPaに調整されており、折りたたみ式のものは使用時に充填が必要です。

応急用タイヤの使用方法は、駆動輪には取り付けないことが原則です。前輪駆動車の場合、まず後輪と交換し、次いで外した後輪を前輪に装着します。後輪駆動車の場合、雪道での使用においては、応急用タイヤのパフォーマンスによって制動やコーナリングに影響が出ることがありますので注意が必要です。四輪駆動車に関しても、外径の異なるタイヤを使用することは禁忌とされています。

スペアタイヤの種類

• - スペースセーバータイヤ: 大きなタイヤサイズの車両において荷室を圧迫しないよう設計されたタイプ。使用時には空気を充填する必要があります。
• - スペアタイヤレス化: 最近ではスペアタイヤを装着しない車両が増加しています。これはタイヤ技術の向上やパンク頻度の減少によるもので、スペアタイヤを未使用のまま廃棄することが多いからです。代替装備としてはランフラットタイヤやパンク修理キットがあり、これらを採用することでスペアタイヤを必要としない車両が増加しています。

ランフラットタイヤはパンク時にも所定の速度と距離を走行できる特性を持っていますが、使用には制限があります。一方、パンク修理キットでは液体充填剤が利用され、トレッド面のダメージには効果がありますが、取り扱いには注意が必要です。

現代におけるスペアタイヤ

現行のSUVや商用車などでは、未だにスペアタイヤが装備されていることが少なくありません。特に1990年代のRVブームの影響から、車両後部にスペアタイヤを装着した例も多く見られます。このように、スペアタイヤは今なお多くの自動車における重要な装備として位置づけられています。しかし、車両の進化に伴い、持ち運ぶ必要のない選択肢が増加していることも確かです。

最後に、スペアタイヤの重要性は変わらないものの、技術の進化とともにその形態や必要性が見直されており、運転者はそれに応じた知識を持つことが求められています。

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