セミフレッド

セミフレッド

概要

イタリア語で「半分冷たい」という意味を持つセミフレッドは、その名の通り、完全に凍結させずに半解凍の状態で提供されるデザートです。主にアイスクリームやカスタード、またはフルーツタルトなどを凍らせた後、独特のなめらかさが保たれる状態で供されます。この食感が、セミフレッドの魅力の一つとなっています。

構成要素としては、アイスクリームやジェラート、ホイップクリームなどが用いられることが多く、これらを組み合わせることで、ふんわりとしながらも口溶けの良いテクスチャーが生まれます。特にイタリアの伝統的なレシピでは、口当たりの良いジェラートがベースとして使われることが一般的です。素材を一体化させ、形状を保つために、冷凍したムース状の生地が用いられることもあります。

類似の菓子

セミフレッドに似た、半解凍の状態で楽しむデザートは、イタリア以外にも存在します。例えば、スペインには「セミフリオ（semifrío）」と呼ばれる菓子があり、これもセミフレッドと同様に「半分冷たい」を意味し、似た特徴を持っています。

歴史（一説）

セミフレッドの誕生については、興味深い説が語り継がれています。その一つに、イタリア・フィレンツェにおいて絶大な富と権力を誇ったメディチ家のために考案されたデザートであるという話があります。メディチ家の娘、カトリーヌ・ド・メディシスは、後にフランス王となるアンリ2世に嫁ぐ際に、多数の優秀な料理人や菓子職人を伴ってイタリアからフランスへと渡りました。

この輿入れの際に、イタリアの洗練された食文化と共にセミフレッドもフランスへ持ち込まれたとされています。フランスの宮廷でこのデザートはさらに発展し、やがて私たちが知るジェラートへと進化していったと言われています。

さらに物語は続きます。カトリーヌの孫にあたるアンリエット・マリーが、イングランド王チャールズ1世のもとへ嫁いだ際にも、同様に食文化の交流がありました。この時、フランスで発展したジェラートや、その原型ともいえるセミフレッドの製法がイギリスにも伝わり、今日の私たちが親しんでいるアイスクリームの誕生につながったのではないか、という説も存在します。このように、セミフレッドは単なるデザートとしてだけでなく、イタリアからフランス、そしてイギリスへと続くヨーロッパのデザート文化の歴史において、重要な役割を果たした可能性が指摘されています。

関連菓子

フィレンツェには、セミフレッドを用いた伝統的なケーキとして「ズコット」があります。ズコットはドーム型の特徴的な形状をしており、リコッタチーズやドライフルーツ、チョコレートなど様々な材料がセミフレッドと共に使われる、フィレンツェを代表する菓子のひとつです。

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