センソウ

仙草 (Platostoma palustre)

仙草は、シソ科に属する中国原産の一年草で、学名はPlatostoma palustreです。主に南部中国の福建省、広東省、江西省、広西チワン族自治区に分布し、台湾では新竹県や苗栗県、桃園県の一部地域で栽培されています。中でも、新竹県の関西鎮は有名な産地として知られています。

植物の特徴

仙草は最大で約100cmの高さに成長します。葉は対生し、長さは2～10cm、幅は1～3cm程度で、卵形の形状を持ち、先が尖っているのが特徴です。また、葉の縁にはのこぎり状のギザギザがあり、灰緑色の斜紋が見られます。茎は四角形で細長く、時には蔓状に伸び、全体に赤褐色の粗い毛が生えています。小さな赤紫色の花を咲かせ、実は逆卵形をしており、こちらも斜紋が入っています。仙草は亜熱帯の温暖な気候を好み、特に気温が20℃から25℃以上で良く育ちます。

用途

生薬としての利用

中国の伝統医学では、仙草は涼粉草（liángfěncǎo）や仙草舅（xiāncǎojiù）と呼ばれ、乾燥した葉や茎が用いられます。甘みがあり、涼性を持つこの草は、煎じて飲むことで熱中症や喉の渇き、体内の熱毒に対処するとされています。また、広東省の広州市では、仙草と冬瓜を煮出して暑気あたりの予防や解熱のための民間療法として利用しています。ただし、効果については十分な科学的根拠がないため、日本では医薬品としては扱われません。

デザートとしての利用

仙草は、乾燥後に黒色になる葉や茎を重曹と共に煮詰め、漉すことで出る多糖類を利用し、冷やして凝固させると「仙草凍」と呼ばれるデザートが作られます。このデザートは甘さが強く、しばしばシロップや蜂蜜をかけて提供されます。香港やシンガポールでは特に人気があり、フルーツやアイスクリームと組み合わせて提供されることもあります。今では、缶詰や樹脂容器入りの商品も流通しており、日本でも中華街などで手に入れることが可能です。冷たい飲み物として、クラッシュアイスやシロップと一緒に楽しむこともあります。

料理としての利用

台湾では「仙草鶏」と称される、仙草と鶏肉を煮込んだ料理も存在しています。

文化と伝説

客家文化には夏の土用の入りの日に仙草ゼリーを食べる習慣があり、これを食べればこの夏の間汗疹ができないという言い伝えがあります。また、広東省の広州市には織姫が地上に降りた際に仙草を持参し、鳳凰山に植えたという伝説があります。この伝説に基づき、旧暦7月7日の七夕の日には、仙草と冬瓜を煮出して保管し、暑気あたりの予防に役立てています。

仙草は、さまざまな形で私たちの生活に潤いを与えてくれる植物です。

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