ソーシャルインパクトボンド

ソーシャルインパクトボンド（SIB）とは

ソーシャルインパクトボンド（SIB）は、行政と民間が連携し、社会問題の解決を目指すための成果志向型の取り組みです。従来の行政サービスとは異なり、SIBでは、事業の成果に応じて行政から資金提供者へ報酬が支払われる点が大きな特徴です。この仕組みにより、社会的な課題解決と行政コストの削減、そして民間資金の活用を両立させることを目指します。

SIBの仕組み

SIBは、以下の要素で構成されています。

1. 行政：解決すべき社会課題を特定し、達成すべき成果目標を設定します。
2. 民間事業者（NPOや企業）：行政から委託を受け、社会課題の解決に取り組みます。
3. 資金提供者：事業に必要な資金を提供します。成果目標が達成された場合に、行政から報酬を受け取ります。
4. 中間支援組織：SIB全体の設計、管理、評価を行います。
5. 評価機関：事業の成果を客観的に評価します。

SIBの特徴は、成果連動型であることです。事前に設定された成果目標が達成された場合にのみ、行政から資金提供者に報酬が支払われます。これにより、事業者は成果を出すために最大限の努力を払い、行政は税金の無駄遣いを防ぐことができます。

SIBのメリット

SIBは、以下のメリットをもたらします。

行政コストの削減：成果が出なければ行政は報酬を支払う必要がないため、税金の有効活用につながります。
社会課題解決の促進：民間事業者のノウハウや資金を活用することで、より効果的な社会課題解決が期待できます。
イノベーションの促進：成果を出すために、新しい手法や技術の開発が促進されます。
投資機会の創出：社会的課題の解決に関心のある投資家にとって、新たな投資機会となります。

世界と日本におけるSIBの動向

SIBは、2010年にイギリスで初めて導入され、その後、欧米を中心に世界各国で広がりを見せています。現在では、20か国以上で80件以上のプロジェクトが実施されています。

日本では、2015年に横須賀市で初のパイロット事業が開始されました。その後、福岡市や松本市など、様々な自治体でパイロット事業が実施されています。2017年には、八王子市と神戸市で、成果連動型の本格的なSIBが導入されました。広島県では、県域6自治体による広域連携型SIBが組成され、クラウドファンディングを活用した個人投資家からの投資も可能になっています。

SIBの課題と今後の展望

SIBは、まだ新しい取り組みであり、いくつかの課題も抱えています。

成果の測定：社会課題の解決は、長期的な視点が必要であり、成果を定量的に測定することが難しい場合があります。
事業者の選定：SIBを成功させるためには、高い専門性と実績を持つ事業者を選定する必要があります。
関係者の連携：行政、事業者、資金提供者、中間支援組織など、様々な関係者の連携が不可欠です。

これらの課題を克服し、SIBをさらに発展させていくためには、関係者の協力と努力が必要です。SIBは、社会課題の解決と行政コストの削減を両立させる可能性を秘めた、革新的な取り組みとして、今後の発展が期待されています。

関連項目

社会的インパクト投資
社会的インパクト評価
SROI（社会的投資利益率）
企業の社会的責任
コミュニティ・シンクタンク

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