タマネギ部隊

タマネギ部隊とは

タマネギ部隊は、漫画『パタリロ!』に登場するマリネラ王国国王パタリロ8世直属の武官部隊です。その特異な外見と、国政を陰で支える重要な役割で、物語に欠かせない存在となっています。

概要

タマネギ部隊は、マリネラ全軍から選抜された約400名のエリート軍人で構成されています。平均年齢は26歳。彼らの最大の特徴は、全員がタマネギ型の頭と菱形の口を持つ、クローンのように均一な外見です。しかし、これはあくまで変装であり、素顔はそれぞれ異なる美形ぞろいです。

各隊員は「タマネギ○号」という番号で呼ばれ、国王直属の親衛隊として、内閣や軍をも超える強大な権限を持っています。マリネラの国政を実質的に動かしているのはこのタマネギ部隊であり、国王の独裁体制を支える要となっています。

パタリロにとっては、バンコランやマライヒ同様、格好のからかい相手ですが、時にはパタリロをからかったり、自分たちの起こしたトラブルの尻拭いをさせたりすることも。

成立

タマネギ部隊は、パタリロ8世の母であるエトランジュ王妃が、幼いパタリロの将来を案じて極秘裏に結成しました。当初は6名の青年将校から始まり、パタリロの世話や警護を主な任務としていました。

連載当初はモブキャラクターに過ぎなかったタマネギ頭の武官でしたが、初期エピソード「マリネラの吸血鬼」での出来事をきっかけに、その存在が明らかになりました。それまでパタリロは、交代で世話をする複数の隊員を単独の人物と思い込んでいたのです。

任務

結成当初はパタリロの世話が主な任務でしたが、物語が進むにつれて、その活動は行政・司法・立法・軍部の統率・在外公館職員・民間企業の管理・宮殿の掃除など多岐に渡るようになりました。パタリロの独裁体制を陰で補佐するシャドウキャビネットとしての機能も持ち、事実上の国家の中枢として稼働しています。

およそ400名の隊員のうち、半分は黒タマネギとしてスパイ活動に従事し、残りの半数も陸海空軍や戦略情報室に出向しています。宮殿勤務でパタリロのそばに配属されているのは100名ほどです。事務仕事はタマネギ部隊成立以前からのマリネラ王国の伝統であり、事務を専門とする隊員（文官）は存在しません。

外見

タマネギ部隊の隊員は、任務中はタマネギ風の髪型、同じ形の眼鏡、菱形の口という、ほぼ同一の容貌で行動します。これは、部外者による偽造を困難にし、敵を欺くための偽装です。素顔は個性の違う美形ぞろいですが、任務中はカツラや眼鏡で外見を統一しています。

菱形の口は訓練によって作られますが、慣れない者は形状記憶ラバー製の擬似マウスを使用します。この特徴的な口は、連載が進むにつれて大きくなり、現在では顔の半分を占めるほどになっています。

待遇

タマネギ部隊は、その強大な権限とは裏腹に、作中では悲惨な存在として描かれています。国の実権を握るとはいえ、実際はパタリロの手足としてこき使われる「奴隷」のようなものです。パタリロはタマネギ部隊に対して一切の手加減なくいたずらやおちょくりを仕掛け、命の危機に直面する隊員も少なくありません。

給与面も劣悪で、勤務は早番と遅番の2交代制、有給休暇は10年に1日だけという過酷な労働環境です。薄給にもかかわらず衣食住は保障されており、独身者は宮殿に住み込み、家族持ちはパタリロ山に建てられた賃貸コテージ群に居住しています。

待遇が悪化しているにもかかわらず、タマネギ部隊はマリネラ王国では憧れの職業として扱われています。これは、国王の奴隷のような実態があまり知られていないことに加え、マリネラ王国を動かす実権を担えるという点が、夢や野心を持つ若者たちに注目されているためです。

ただし、このような酷薄な関係はあくまで表層的なものであり、隊員が危険にさらされたときはパタリロが身の危険を顧みずに救助に向かい、逆にパタリロが第三者によって不当な暴行を加えられた際には部隊が独自に報復行動を起こすこともあり、実際には両者は強固な信頼関係で結ばれています。

思想

タマネギ部隊は「国王を支えること」を一番の目的とする部隊ですが、隊員の愛国心や忠誠心は個人によって異なります。パタリロは「タマネギ部隊は国王に絶対服従」を語りますが、隊員に対する思想教育のようなものは行われていません。隊員の中には自分の任務に誇りを持つ者もいれば、仕事を適当にこなす怠け者もいます。また、中には凶悪な犯罪を犯す者も存在します。

隊員たちはほぼ全員がパタリロ国王に対してうんざりした気持ちを持っていますが、本気で憎悪しているような者はあまりいません。パタリロの良い所も悪い所も同時に理解して受け入れています。そんなタマネギたちにとって、バンコランやマライヒはアイドル的存在で、崇拝すらされています。

入隊条件

タマネギ部隊への入隊は狭き門であり、厳しい条件が課せられています。

必須条件として「身長175cm以上」「虫歯が存在しない」「一に学力、二に体力、三四がなくて五に美貌、六に身長、七家柄、八九のいきおい、十雄弁、十一ユーモア、十二にお世辞、十三日なら金曜日」とあり、この後にもまだ続くが劇中では明らかにされていません。しかし、以上の条件を満たしていない隊員や情実による入隊者も少なからず居り、絶対的なものではありません。

民間からの入隊試験には、体力測定、パタリロ8世の偏向した知識への対応力を問う雑学力試験、仕事をサボタージュして逃走するパタリロ8世を捕捉するための超高速動体視力試験などが存在します。

私生活

非番の日の隊員は素顔に戻り、年相応の青春を謳歌しています。しかし、連載が進むにつれてタマネギ部隊の給料が安くなったため、貧窮の中でいかにプライベートを楽しむかという涙ぐましい様子が多く描写されるようになってしまいました。

恋愛事情も変化しており、連載初期は異性愛者が多かったものの、近年では同性愛者が増加し、ゲイとバイセクシャルで全体の98%を占めるという設定になっています。

給料の安さから、隊員同士で恋愛を行う傾向が強く、人間関係は非常に複雑になっています。また、多くのタマネギが格闘技を心得ているため、恋人同士のケンカは時に熾烈を極めます。

喫煙者の割合は少ないとされていますが、情事あとの喫煙場面はしばしば見受けられます。

部隊編成

タマネギ部隊には、様々な役割や特徴を持つ部隊が存在します。

黒タマネギ: 世界各国の中枢に潜入し、スパイ活動を行う精鋭部隊
グレータマネギ: 独自の行動基準で動く、特異な存在
ジュニアタマネギ部隊: 新しいタマネギ養成機関
紫タマネギ: 各国首脳の愛人として送り込まれる少年たちで構成される部隊
* 武闘タマネギ: 対テロリスト用部隊

その他、ワンワン部隊、マリネラ忍軍など、様々な特殊部隊が存在します。

タマネギ部隊は、その個性的なキャラクターと、マリネラ王国における重要な役割で、『パタリロ!』の世界を彩る魅力的な存在です。

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