タリス

タリス：ヨーロッパを駆け抜ける高速鉄道

タリスは、フランス、ベルギー、オランダ、ドイツの4カ国を結ぶ国際高速鉄道です。フランスのTGVを基に開発されており、各国の異なる電化方式に対応できるよう、高度な技術が投入されています。最高速度は300km/hに達し、ヨーロッパの主要都市間をスピーディーに結びます。

歴史と運行会社

1996年1月に運行を開始し、同年6月にはアムステルダムまで、1997年12月にはケルンまでの路線が開通しました。当初は「タリス・インターナショナル」社が運行を担当し、フランス国鉄とベルギー国鉄が株式を保有していました。2015年には正式な運行会社となり、2019年からユーロスターとの統合が検討され、2022年には「ユーロスター・グループ」のもとで両社が統合されました。2015年以降は、テロ対策として乗車前の保安検査が実施されています。

運行路線と停車駅

主要路線は、パリからブリュッセルを経由し、アムステルダム、ケルンへと至る系統です。さらに、パリからベルギー国内の主要都市への路線も運行されています。運行頻度は曜日によって異なりますが、パリ-ブリュッセル間は1時間に1～2本運行され、非常に高い利便性を提供しています。

主な停車駅は、パリ北駅、ブリュッセル南駅、アムステルダム中央駅、ケルン中央駅など、各国の主要駅を網羅しています。アントウェルペンでは、2007年に駅周辺の改良により、アムステルダム方面の全列車がアントウェルペン中央駅に乗り入れるようになりました。過去には、デュッセルドルフやマルヌ・ラ・ヴァレ＝シェシー駅（ディズニーランド・パリ最寄り駅）にも停車していた時期がありました。また、スキーシーズンや夏季には、アルプス方面やマルセイユへの臨時列車も運行されます。

車両

タリスには、走行区間によって異なる電化方式に対応するため、タリス-PBA型とタリス-PBKA型の2種類の車両が存在します。

タリス-PBA型: フランス、ベルギー、オランダの3カ国の電化方式に対応。パリ、ブリュッセル、アムステルダムの頭文字から命名されています。
タリス-PBKA型: フランス、ベルギー、ドイツ、オランダの4カ国の電化方式に対応。パリ、ブリュッセル、ケルン、アムステルダムの頭文字から命名されています。

両車両とも10両編成で、一等車、二等車、ビュッフェなどを備えています。運転台は、各国の線路の通行方向の違いに対応するため、車両中央に配置されています。また、各国の信号システムに対応した多様な機器を搭載しています。

将来展望

現在建設中の高速新線が完成すれば、パリ-アムステルダム間の所要時間が約3時間へと短縮される予定です。また、欧州統一信号システムERTMSレベル2への対応も進められています。

まとめ

タリスは、ヨーロッパの国際協力と高度な技術の結晶と言える高速鉄道です。その歴史、運行状況、車両、そして将来展望は、ヨーロッパの交通インフラの進化を象徴する存在と言えるでしょう。今後も、ヨーロッパの主要都市間を結ぶ重要な交通手段として、発展を続けることが期待されます。

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