ダイキチシステム

概要

ダイキチシステム株式会社は、大阪市中央区南船場に本社を置く企業です。主な事業として、「やきとり大吉」の名称で焼き鳥専門店のチェーンストアを日本全国に展開しています。

事業の特徴

同社の店舗展開は、全てフランチャイズシステムによって行われています。

一般的な飲食店が出店を競う駅前や繁華街ではなく、主に住宅地など比較的狭い地域を商圏として店舗を構えていることが特徴です。
店舗の広さは約10坪程度と小規模で、内装には鉄道の枕木を再利用するなど、独特の空間づくりがなされています。
「やきとり大吉」のチェーンシステムの核となるのは、店主の独立支援を重視した仕組みです。食材の仕入れ、提供するメニューの選定、焼き鳥のたれの調理方法など、店舗運営の大部分は各店主に委ねられています。（ただし、提供する酒類については、本部が指定するサントリー系列の仕入れルートを利用することが定められています。）
本部へのロイヤリティを定額制とすることで、店主の収益が努力に応じて増える構造になっており、独立経営を後押ししています。同社によれば、最低およそ150万円の開業資金があれば、本部が斡旋する店舗物件を借り受ける形で独立開業が可能とされています。
* 本部が紹介する店舗物件は、駅前などの一等地を避け、競合が少ない住宅地の路面店が中心です。これは、地域住民という固定客のニーズにきめ細かく対応することを可能にし、店舗規模の小ささと相まって、長期的な店舗運営を実現する仕組みとなっています。流行り廃りが激しい飲食業界において、開業店主の約8割が10年以上店舗を継続運営しているという実績は、このビジネスモデルの安定性を示唆しています。

沿革と経営体制

かつて、ダイキチシステムは2001年にサントリー株式会社（現在のサントリーホールディングス株式会社）と業務提携を行い、同社の完全子会社となっていました。

その後、2022年9月13日に、焼き鳥チェーン「鳥貴族」などを運営する鳥貴族ホールディングス株式会社（現在のエターナルホスピタリティグループ株式会社）が、サントリーホールディングスが保有していたダイキチシステムの全ての株式を取得することを発表しました。実際の株式譲渡は2023年1月4日に完了し、ダイキチシステムは鳥貴族ホールディングスのグループ企業となりました。

経営統合後も、「鳥貴族」と「やきとり大吉」の両ブランドはそれぞれ存続させつつ、地方エリアへの店舗展開を強化していく方針が示されています。

過去の裁判事例

1998年には、神戸市垂水区で営業していた「やきとり大吉」の店舗を巡る訴訟が発生しました。近隣に居住する住民が、店舗から発生する焼き鳥のにおいが快適な生活を著しく妨げていると主張し、におい対策の実施と損害賠償を求め、店舗の店主および本部であるダイキチシステムを相手取って裁判を起こしました。

第一審を担当した神戸地方裁判所は、店舗からの臭気は社会生活を送る上で受忍すべき限度を明らかに超えていると判断し、原告である住民側の訴えを認める判決を言い渡しました。

しかし、控訴審にあたる大阪高等裁判所での判断は異なりました。二審判決では、原告が特に強いにおいを感じるのは風の弱い時などに限られるといった点を考慮し、においが受忍限度を超えているとは認められないとして、一審判決を取り消し、原告側の訴えを退ける判決を下しました。

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