タンカード

タンカード (TANKARD)

タンカードは、1982年に西ドイツのフランクフルトで結成されたスラッシュメタルバンドです。メンバーは同じ学校の学生で構成され、アンドレアス・ゲレミア（ボーカル）、アクセル・カッツマン（ギター）、フランク・トールワース（ベース）、ベルンハルト・ラプリッチ（ギター）、オリヴァー・ワーナー（ドラム）の5人です。彼らは「ジャーマン・スラッシュ」の草創期から活動を続けており、独自のスタイルで金属的なサウンドを展開しています。

彼らはビールやウイスキーなどのアルコールをテーマにした楽曲で知られており、さながら「酔いどれスラッシャー」とも称されています。このユニークなアプローチにより、一時期「ドイツの酔っ払い集団」としても知られました。バンド名の「タンカード」は、ビールジョッキを意味し、彼らはビールに対する愛情を楽曲に込めて表現しています。あるインタビューでは、ビールの歌がバンドにとって不可欠であると語り、「ビールについて歌わないなんて、俺たちじゃないだろ？」と宣言しています。

彼らのデビューは1986年にリリースされたアルバム『ZOMBIE ATTACK』です。この作品はインディーズレーベルのノイズ・レコードからリリースされ、バンドの名を広めるきっかけとなりました。その後も1987年の『CHEMICAL INVASION』や1988年の『THE MORNING AFTER』など、アルバムを次々と発表し、スラッシュメタルシーンでの地位を確立しました。タンカードは時に「ザ・テュートニックBIG 4」と呼ばれることもあり、クリエイターやデストラクション、ソドムと並ぶ存在として一目置かれています。

1990年代に入り、バンドは数々のライブパフォーマンスを通じてファンを増やしつつ、アルバムも精力的にリリースしました。特に1991年にリリースされた初のライブアルバム『FAT, UGLY & LIVE』は、彼らのライブの迫力を伝える名作として人気を博しました。また、1995年には『The Tankard』を発表し、バンドの固体性が確固たるものとなりました。

現メンバーはアンドレアス・ゲレミア（ボーカル）、アンディ・グッチャー（ギター）、フランク・トールワース（ベース）、オラフ・ジゼル（ドラム）の4名で、彼らは2023年夏の時点でも活動を続けています。初期メンバーであるアクセル・カッツマンやオリヴァー・ワーナーは1990年代に脱退しましたが、バンドはその後も新しいメンバーを迎え入れながら演奏を重ねています。

彼らのディスコグラフィーには、多くのスタジオアルバムやライブアルバム、コンピレーションアルバムが含まれ、特に『KINGS OF BEER』や『A Girl Called Cerveza』などのアルバムはファンから高く評価されています。最近では2022年に18thアルバム『Pavlov's Dawgs』を発表し、今なお新しい音楽に挑戦し続けているタンカードは、スラッシュメタルの遺産を担う存在です。タンカードの音楽は、ビールを愛する全ての人々に向けて、その楽しさとエネルギーを伝えているのです。

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