ダン・カーター

ダニエル・ウィリアム・カーター（通称ダン・カーター）は、1982年3月5日生まれのニュージーランドの元ラグビー選手です。彼のポジションは、ゲームをコントロールする司令塔であるフライハーフ（スタンドオフ）でした。

カーターはクライストチャーチ郊外のサウス・ブリッジで生まれ、クライストチャーチ・ボーイズ・ハイスクールを卒業後、ラグビー選手としてのキャリアをスタートさせました。NPCカンタベリー、スーパー14クルセイダーズを経て、ニュージーランド代表「オールブラックス」に選出され、世界的な選手へと成長しました。

2003年にクルセイダーズでデビューを飾り、同年6月にはウェールズ戦でオールブラックスとしての初キャップを刻みました。当時のオールブラックスにはカルロス・スペンサーという不動のスタンドオフがいたため、カーターはインサイドセンターとしてプレーしていましたが、2004年11月のヨーロッパ遠征でスペンサーが怪我により離脱したため、カーターがスタンドオフとして抜擢されました。以降、彼はそのポジションを不動のものとしました。

カーターはその圧倒的なプレーで、3度もワールドラグビー年間最優秀選手賞に輝き、世界最高のスタンドオフと称されました。特に正確なゴールキックは彼の大きな武器であり、2006年末までに35のテストマッチで540得点を記録しました。2005年のブリティッシュ＆アイリッシュ・ライオンズ戦では、1試合で33得点を挙げ、オールブラックスの対ライオンズ戦における個人最多得点記録を大幅に更新しました。また、2006年のスーパー14では、年間試合数の増加にも助けられ、221得点を記録し、大会記録を塗り替えました。

私生活では、2002年からホッケー女子ニュージーランド代表のホナー・ディロンと交際を始め、2010年に婚約、その後2人の息子を授かりました。

2010年には、ウェールズ代表との試合でテストマッチ通算1188ポイントを記録し、イングランドのジョニー・ウィルキンソンを抜き、歴代1位の記録保持者となりました。

2011年の自国開催のラグビーワールドカップでは、練習中の怪我により試合出場は叶いませんでしたが、チームは見事優勝を果たしました。

2015年のイングランドで開催されたラグビーワールドカップでは、正フライハーフとしてチームを牽引し、ニュージーランド代表初の連覇に貢献しました。大会後、オールブラックスを引退し、フランスのトップ14リーグに所属するラシン92に移籍し、ラグビー界史上最高額とされる年俸で契約を結びました。

2016年には、自身の自伝「ダン・カーター自伝 -オールブラックス伝説の10番-」が日本語版で出版されました。

2018-2019シーズンには、日本の神戸製鋼コベルコスティーラーズに加入し、2年間プレーしました。2020年には神戸製鋼を退団し、古巣のブルーズに一時的に加入しましたが、2021年に現役引退を発表しました。

カーターは、その卓越したプレーで多くのファンを魅了し、ラグビー史にその名を刻む偉大な選手として、これからも語り継がれることでしょう。

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