ツイーター

ツイーターとは

ツイーター（Tweeter）は、スピーカーシステムにおいて高音域の再生を担当するスピーカーユニットです。その名前は、英語で小鳥のさえずりを意味する「tweet」に由来しています。ツイーターは、ツィーター、トゥイーターなどと表記されることもあります。

ツイーターの役割

ツイーターは、スピーカーシステムの中でも特に高音域の再生に特化したユニットです。フルレンジスピーカーがすべての音域をカバーするのに対し、ツイーターは高音域のみを担当することで、よりクリアで繊細な高音再生を可能にします。ツイーターを独立して使用する主な利点は以下の通りです。

指向性の向上: 高音域は指向性が強く、特定の方向に音が集中しやすい性質を持ちます。ツイーターは、この指向性をコントロールし、より広い範囲に高音を均一に届けることができます。
ドップラー歪の低減: ドップラー歪は、音源が動くことで発生する音の歪みです。ツイーターは、振動板の動きが小さいため、この歪みを抑えることができます。
分割共振の抑制: 分割共振は、振動板の一部が共振して特定の周波数の音を強調してしまう現象です。ツイーターは、振動板の素材や形状を工夫することで、この共振を抑制することができます。

しかし、ツイーターの使用は必ずしもメリットばかりではありません。ツイーターと他のスピーカーユニットを組み合わせる際には、ネットワーク回路を介する必要があり、このネットワーク回路が音質を劣化させる可能性があります。そのため、高音域の再生に優れたフルレンジスピーカーと比較した場合、必ずしもツイーターが優れているとは限らないという意見も存在します。

高音域は、楽器の倍音成分など、音の解像感や美しさを決定づける重要な要素を含んでいます。そのため、ツイーターの性能は、スピーカーシステムの音質を大きく左右します。

スーパーツイーターについて

ツイーターの中には、さらに高音域に特化したスーパーツイーターというものもあります。これは、通常のツイーターの再生帯域を超える超高音域を再生するために用いられます。スーパーツイーターは、ツイーターを搭載したスピーカーシステムに、さらに高音のきらめきや空気感を加えたい場合や、フルレンジスピーカーの高音域を補強したい場合に利用されます。

なお、どの周波数帯域が高音域、超高音域に該当するかという厳密な定義はありません。一般的に、1 kHz以上の周波数を再生するツイーターもあれば、10 kHz以上の周波数を再生するツイーターもあります。数百Hzから再生可能なラッパ状の大型ツイーターも存在し、これは30cmや38cmを超える大口径ウーファーと組み合わせて使用されることが多くあります。

3ウェイ以上のスピーカーシステムでは、一般的に5 kHz前後以上の周波数をツイーターが担当することが多いですが、2ウェイシステムの場合はツイーターが担当する周波数の定義は様々です。

ツイーターの構造

ツイーターは、指向性を広げ、質量を軽くするために、一般的に小口径に設計されます。また、振動系の剛性が高く、ストロークがほとんどないという特徴を持ちます。ツイーターに低音を入力すると破損する可能性があるため、パワーアンプの前段、または後段にハイパスフィルターを設置することが一般的です。

ツイーターには、主に以下のような種類があります。

動電型: 振動板に電流を流して磁力で振動させる方式で、コーン型やドーム型の振動板がよく使用されます。
ホーン型: ホーン（ラッパ状の構造）を用いて音を増幅する方式で、高能率を実現できます。
リボン型: 薄い金属製の振動板を磁界で振動させる方式で、繊細な高音再生が可能です。
リング型: ドーナツ型の振動板を用いた方式で、オンキヨーの一部のスピーカーシステムで採用されています。
エレスタッド型: 極薄の振動膜を静電気で振動させる方式で、かつてソニーの一部の機種で採用されていました。
イオン型: 空中放電による空気の体積変化を利用する方式で、非常に高い周波数の再生が可能です。

高音域は直進性が強いため、スピーカーの周囲全体に均一に音を響かせるのが難しいという課題があります。そのため、ドーム型の振動板や音響レンズを用いて、指向性を広げる工夫がされています。

関連項目

スピーカー
音響機器
ウーファー
* スコーカー（ミッドレンジ）

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