テンタクルズ

テンタクルズ (Tentacles)

『テンタクルズ』は、1977年にオリヴァー・ヘルマン監督によって制作されたイタリアとアメリカの共同製作によるパニック・ホラー映画です。この作品は、海の恐怖をテーマにしており、特に巨大な触手を持つ生物による攻撃が描かれています。タイトルは「タコ」や「イカ」を象徴するもので、映画の内容にも大きく関わってきます。

作品背景

映画が公開される当時、特に『ジョーズ』の大ヒットに影響されて、動物が人間に襲いかかる「動物パニック映画」が増加していました。『テンタクルズ』はその流れに沿う形で制作され、著名な俳優であるジョン・ヒューストン、シェリー・ウィンタース、ヘンリー・フォンダといった面々が出演していますが、残念ながら評価は低く、凡作として扱われています。しかし、ショックシーンの演出や、劇中の特殊効果には一部『ジョーズ』の影響が垣間見えます。特に、海中から引き上げられた食い荒らされた死体は観客に強烈な印象を与えました。宣伝ポスターは著名なアーティスト、生頼範義の手によるものです。

あらすじ

物語は、カリフォルニア州の海辺の町から始まります。7月、町では連続する人々の失踪事件が発生し、何者かに引きずり込まれる姿が目撃されます。ベテラン新聞記者のネッド・ターナーはこの謎を追う中で、トロージャン・トンネル会社が建設している海底トンネルに辿り着きます。

同時に、海洋学者のウィル・グリーソンもトロージャン社からの依頼で調査を開始しますが、彼の部下たちもまた同様に海中での怪現象に遭遇してしまいます。調査が進むにつれて、襲撃にあった人々が共通して無線やラジオを視聴していたことが明らかになり、それが怪物との関連を示唆します。そして、海中調査を行ったウィルは、トロージャン社が使用している電気振動装置の影響で魚が異常死している様子を目撃します。この発見から、何かが目を覚ましてしまったのです。

その後、少年ヨットレースが開催され、ネッドの甥であるトミーも参加しますが、ついにその怪物——巨大なタコが姿を現します。このタコは、トロージャン社の装置によって引き起こされた異常な周波数によって刺激され、凶暴化して人々を襲います。ヨットレースでは次々と参加者が転覆し、悲劇が起こります。

クライマックス

大ダコの脅威に対抗するため、ウィルは水中銃を手に取り、海に潜ります。しかし、大ダコは岩礁地帯での落石を引き起こし、ウィルたちを危機に追いやります。そんな中、ウィルが放つことにしたシャチたちが助けに現れ、壮絶な戦いが繰り広げられます。最終的に、大ダコはシャチによって倒され、町に平和が戻るのです。

余談と評価

本作はアクションや特殊効果こそが見どころであり、当時の映画技術の粋を集めた作品でもあります。しかし、ストーリーや演技の面では批評の対象となっています。それにもかかわらず、動物パニック映画の一スタイルを確立したことや、当時の流行を反映している点では興味深い作品と言えるでしょう。

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