デジモンペンデュラム

デジモンペンデュラムは、バンダイが展開する育成電子ゲーム「デジタルモンスター」シリーズにおいて、初代機のコンセプトを受け継ぎつつ、新たな要素を多数加えた後継機として登場しました。これにより、単なる育成や対戦だけでなく、テイマー（プレイヤー）の介入や戦略がより求められるゲームへと進化を遂げました。

最大の特徴：ペンデュラム機能

本シリーズの名称の由来ともなっている最大の特徴は、本体に内蔵されたペンデュラム（振り子）機能です。トレーニングやデジモン同士の戦闘を行う前に、ユーザーが数秒間本体を振ることで、このペンデュラムを揺らす動作が必要となります。この「振る」というアクションが、ゲームの勝敗や育成結果に影響を与える重要な要素となりました。

特に初代ペンデュラムシリーズでは、振る速度やリズム、タイミングといった複雑な要素が絡み合い、戦闘時のクリティカルヒット（スーパーヒットやメガヒット）の発生率が大きく変動しました。そのため、使用するデジモンの種類に応じて、最適な振り方をプレイヤー自身が研究する必要があり、その攻略法が情報誌などで紹介されるほどでした。一方、それ以降のシリーズでは、デジモンごとに効果的な「振る回数」があらかじめ設定される形に変更され、より直感的に操作できるようになりました。このペンデュラム機能の導入により、それまでのオートバトル中心だった対戦に、プレイヤーのスキルが直接影響するインタラクティブな要素が付加されたのです。

新たなゲームシステム：属性とジョグレス

初代ペンデュラムシリーズから、デジモンに属性の概念が追加されました。これはデジモンのタイプを示すもので、バトルにおける相性などに影響を与えます。

また、このシリーズで初めて導入された画期的なシステムがジョグレスです。これは「ジョイント（合体）」と「プログレス（進化）」を組み合わせた造語で、デジモン同士の合体進化を指します。成熟期以上のデジモンを特定の組み合わせで合体させることにより、次の世代のデジモンへ進化させることが可能となりました。

ジョグレスには、組み合わせに関する法則が存在します。

Va（ワクチン）種になる組み合わせ：Va種 + Va種、または Va種 + Da種
Da（データ）種になる組み合わせ：Va種 + Vi種、または Da種 + Da種
Vi（ウィルス）種になる組み合わせ：Da種 + Vi種、または Vi種 + Vi種

ただし、相性が悪い組み合わせでは「ミスマッチ」と表示され、ジョグレスは成立しません。ミスマッチとなる主な条件としては、同属性で同じ系統（成熟期や完全体にそれぞれ用意されたA/Bタイプ）のデジモン同士の合体（A+AやB+B）や、基本的に異なる世代間での合体などが挙げられます。しかし例外もあり、特定の成熟期と完全体の組み合わせでは、成熟期側のみが進化する形でジョグレスが成立する場合もあります。

ジョグレスによって誕生するデジモンの中には、通常の育成では進化しない特殊なデジモンも存在し、別のペンデュラム本体との通信によるジョグレスでなければ見られないデジモンもいました。

シリーズの展開

デジモンペンデュラムは、その後のシリーズ展開を通じて進化を続けました。

初代ペンデュラムシリーズ (1998年〜)

1998年秋にスタートした最初のシリーズです。舞台設定がフォルダ大陸に移され、バージョンごとに登場するデジモンにテーマ性や統一感が持たされました。ジョグレスや究極体が初めて登場した記念すべきシリーズです。

NATURE SPIRITS: 平原や森林、河川に生息するデジモンが登場。1.5には特別なデジモンも追加されました。
DEEP SAVERS: ネットワークの海に住むデジモンが中心。
NIGHTMARE SOLDIERS: 悪魔や吸血鬼、魔物型のデジモンが集結。
WIND GUARDIANS: 鳥や植物型のデジモンが登場。漫画やアニメに登場したデジモンも含まれています。
METAL EMPIRE: 機械やサイボーグ型のデジモンが登場。
VIRUS BUSTERS (ZERO): 聖獣や天使型のデジモンが登場。悪に対抗するテーマ性から、ウイルス種の代わりに天使系デジモンが多く配置されました。

各シリーズには、ネット販売や公式大会の景品などで入手できた限定版（1.5、2.5など）が存在し、一部登場デジモンが異なりました。

デジモンペンデュラムプログレス (2002年)

2002年に展開されたシリーズ。同時期に発売された「ディースキャナ」との連携要素が特徴です。また、デジモンのドット絵サイズが変更され、前作まで存在した「寿命」システムが廃止されました。成熟期以上のデジモンは、一定回数の育成ミスをしない限り死亡しない仕様に変更され、より長く育成を楽しめるようになりました（電池切れは除く）。

1.0 DRAGON'S ROAR: アニメ主人公デジモンを中心としたオールスター的なバージョン。
2.0 ARMAGEDDON ARMY: 神聖系と悪魔系のデジモンが登場し、究極体として三大天使や七大魔王が登場しました。
3.0 ANIMAL COLOSSEUM: バトル進化など、次期シリーズへの布石となる要素が試験的に導入されました。

デジモンペンデュラムエックス

『デジモンクロニクル』という設定ブックレットが同梱されたシリーズです。プログレスで廃止された「寿命」が再び導入されましたが、その期間は他の育成ゲームと比較してかなり短めに設定されていました。

version1.0: 現在世界「ベルサンディターミナル」が舞台。ドルモンやアグモン、基本的なデジモンが登場しました。
version1.5: version1.0の登場デジモンを一部変更し、ドルモンの進化形デクスルートや新デジモンが登場。
version2.0: 過去世界「ウルドターミナル」が舞台。リュウダモンやギルモン、恐竜型デジモンが多く登場しました。
version3.0: 未来世界「スクルドターミナル」が舞台。ファンビーモンなどが新登場し、新機構「ブラストエボリューション」が追加されました。このバージョンから、特定の条件で全てのロイヤルナイツに進化できるようになりました。

デジモンペンデュラムシリーズは、その革新的なゲームシステムと魅力的なデジモンの登場により、多くのファンを魅了し、デジタルモンスターの歴史において重要な位置を占めるシリーズとなりました。

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