トマトジュース

トマトジュースの概要

トマトジュースは、つぶしたトマトを絞った飲料です。日本農林規格（JAS）では、トマトを破砕し、搾汁または裏ごしを行い、皮や種子を除去したもの、または、濃縮トマトを希釈したものと定義されています。一般的にはそのまま飲まれることが多く、特にアメリカでは朝食に用いられることが一般的です。この飲料は、手軽にトマトの栄養を摂取でき、様々な料理にも使われます。特にカクテルの材料としても人気があり、ブラッディ・マリーやビールと合わせたレッド・アイなどで楽しまれています。

歴史

トマトジュースが製品化されたのは、1923年のアメリカが初めてです。リビー=マクニール&リビー社が製造を開始しましたが、最初の製品は茶色い色をしていたため、消費者からの支持を得られませんでした。1929年には新たに圧縮製法を開発し、鮮やかな赤色のトマトジュースが誕生しました。これが受け入れられることで、アメリカの家庭で朝食に欠かせない飲み物となりました。

日本へのトマトジュースの導入は1933年で、愛知トマト（のちのカゴメ）が最初に市場に出しました。糖分を加えた甘めの味付けで、当時は飲む人を増やそうと試みましたが、広まりは芳しくなく、1941年には製造が中止されました。第二次世界大戦後、アメリカからの援助品として学校給食に導入されると、少しずつ浸透し始めました。1949年に再びカゴメが製造を開始し、その後も多くの国産メーカーが市場に参入しました。

1960年代にはトマトジュースの出荷量が急増しましたが、1969年には缶の内部からの錫溶出による中毒事件が発生し、一時的に消費が落ち込みました。しかし、需要は迅速に回復しました。

成分と栄養

トマトジュースは、一般的に塩を加えて仕上げることが多く、「有塩」と「無塩」に分類されます。トマトに豊富に含まれるリコピンやカリウムは、健康にいい成分として知られています。特にカリウムは、体内のナトリウムを排出し、高血圧の予防に役立つと言われています。日本のトマトジュースには100gあたり約250mgのカリウムが含まれています。厚生労働省は成人の1日の推奨カリウム摂取量を約2000mgとし、生活習慣病予防の観点では3500mgを目指すことが望ましいとしています。

製造と市場動向

世界的には、デルモンテ、キャンベル、モッツなどがトマトジュースの重要なメーカーです。日本ではカゴメが老舗ブランドとして知られています。さらに最近では、有機栽培トマトを使用した少量生産の製品も増えてきています。

通常、果汁100%の製品が主流ですが、飲みやすさ重視の製品も登場しています。特に1976年には日本コカ・コーラが果汁70%のトマト飲料「Hi-Cトマト」を発売しましたが、消費者の支持を得られず、1983年には市から撤退しています。 しかし、飲みやすい製品は韓国などでは受け入れられており、現在も日本ではアサヒ飲料などが果汁90%の甘味をつけたトマトジュースを展開しています。

文化的側面

トマトジュースをテーマにした楽曲も登場しており、吉川忠英の「夜更けのトマトジュース」や大塚博堂・梓みちよの「トマトジュースで追いかえすのかい」などが挙げられています。これらはトマトジュースが人々の日常に存在していることを示しています。

トマトジュースはその栄養価の高さと多様な利用方法から、今後も愛され続ける飲料であると言えるでしょう。

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