ドルビーシネマ

ドルビーシネマとは

ドルビーシネマは、ドルビーラボラトリーズが開発した特別なシネマ体験であり、画質や音質において新たなスタンダードを提供しています。このシネマ形式は、ドルビービジョンやドルビーアトモスといった高度なテクノロジーを組み合わせており、独自のデザインや入場口の演出が特徴です。2015年に公開された『トゥモローランド』で世界初導入され、2019年に日本での展開が始まりました。

歴史

ドルビーシネマの最初の導入は、2014年12月のオランダのアイントホーフェンの映画館でした。その後、スペインのバルセロナなど世界中の映画館に広がりを見せています。ドルビーラボラトリーズは、AMCシアターズやCineplexx Cinemasなど、多くのシネマチェーンと提携し、ドルビーシネマを展開しています。2017年にはヨーロッパで10の新しい劇場での導入を知らせ、特にフランスとオランダに多くの館が設けられることとなりました。

テクノロジー

ドルビービジョン

ドルビービジョンは、映像の暗部表現に革新をもたらしたHDR映像技術です。伝統的な映像方式では、薄明るい画面では黒の表現が曖昧でしたが、ドルビービジョンにより、より深い黒色を再現できるようになりました。特に夜の風景や宇宙のシーンでは、その技術の効果が顕著に表れます。最大コントラスト比は100万対1に達し、映像のクオリティは劇場全体で一貫して高いレベルを保つ必要があります。

ドルビーアトモス

ドルビーシネマには、ドルビーアトモスという立体音響技術も組み込まれています。この技術は、音の流れをオブジェクトベースで扱い、観客が感じる音の位置をリアルタイムで調整します。最大64個のスピーカーの組み合わせにより、最大128チャンネルの音声を駆使し、音が空間の中で立体的に感じられるようになります。最初にこの技術を採用した映画は、2012年の『メリダとおそろしの森』です。

オーディオ・ビジュアル・パスウェイ (AVP)

ドルビーシネマでは、オーディオ・ビジュアル・パスウェイと呼ばれる準備段階も重要な役割を果たします。劇場の入場口では、映画に合わせた特別映像が流れることで、観客は映画体験に没入することができます。映像はプロジェクターを使用し、音声は設置されたスピーカーから流れ、入場時から観客を惹きつける工夫がされています。

導入劇場

ドルビーシネマは、世界の22社で約400スクリーンが稼働していますが、日本でも注目されています。日本での導入は遅く、2018年11月に初めてT・ジョイ博多で展開され、2019年には数館が営業を開始しました。2024年4月時点では、全国で10の上映館が存在します。しかし、現状では都市部に限定されており、規模は小さくなっています。

まとめ

ドルビーシネマは、その先進技術によって観客に特別なシネマ体験を提供するものであり、これからの映画文化において重要な役割を果たすことでしょう。これを支持するカンパニーの充実と新たな劇場の導入により、今後ますます多様な観客に届けられることが期待されています。

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