ニコラ・フラメル

ニコラ・フラメルについて

ニコラ・フラメル（Nicolas Flamel、1330年 - 1418年3月22日）は、フランスの出版業者であり、錬金術師としても知られています。彼は多くの錬金術書の著者ともされ、特に賢者の石の製造に成功したという伝説が伝えられています。彼が1407年にパリで建てた家は、パリの中で最も古い建物の一つとして今日でも残されています。

伝説と錬金術

フラメルに関する数多くの伝説が存在します。その中でも特に注目されるのは、彼が異国人から入手したという「アブラハムの書」という秘法書です。この著作はギリシャ語とヘブライ語で書かれており、フラメルは1379年にその内容を解読するためにスペインへ方向し、サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼に赴いています。

彼はアンダルシアの大学でユダヤ人の教師カンシュから学び、21年の間にカバラの秘法を解読したと言われています。残念ながら、カンシュが亡くなったことで彼の解読は終了しましたが、フラメルはその後、旅の間に得た知識をもとに財を成し、教会や病院への多くの寄付を行いました。彼の実在を証明する文献資料も残されており、彼がパリのサン・ジノサン墓地への寄付を行ったことや、そこでの彫刻が後世に引用され続けていることから、彼の影響は計り知れません。

フラメルの妻ペレネレ

フラメルと共に錬金術に関与した妻ペレネレ（ペレネル）は、特に注目に値します。中世のヨーロッパにおいて、女性が錬金術に関わることは稀であったことから、彼女の存在は非常に特異とされています。ペレネレも夫と共に錬金術の研究に取り組んだと伝えられており、彼女の名声もまた錬金術の伝説に影響を与えました。

実在のフラメルについての研究

フラメルの伝説的な存在については、特に17世紀から18世紀にかけて広く知られるようになりましたが、近年の研究では彼が錬金術に関わった証拠がないとする見解も強まっています。特に、サン・ジャック・ド・ラ・ブーシュリ教会のヴィラン修道士が18世紀に発表した批判が、その後の研究に影響を与えました。彼はフラメルの記録が『象形寓意図の書』という著作には実際のフラメルの時代にそぐわない記述があることを指摘したのです。

その後の研究者も、挙げられた文献を基にした比較検討を行い、フラメルの記述の真偽について疑義を呈しました。クロード・ガニョンによる調査では、『象形寓意図の書』が後の時代に書かれたものであり、本当の著者がギヨーム・ポステル学派に関与した人物であることが論証されています。

フィクションへの影響

ニコラ・フラメルは、数多くのフィクション作品にも影響を与えています。特に『ハリー・ポッターと賢者の石』では、彼の名前が登場し、賢者の石にまつわる伝説的な人物として描かれています。さらに、彼は『アルケミスト：錬金術師ニコラ・フラメル』や、漫画＆ゲーム作品での登場も見受けられ、様々な形で彼の伝説は今日の文化に息づいています。

実際のフラメルの伝説と、フィクションでの彼の表現は大きな違いがあるため、彼に関する研究は今なお続いています。

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