ノギス

ノギス：精密測定の頼れるツール

ノギスは、精密な測定を必要とする様々な場面で活躍する計測器です。本尺と、それに沿って滑らかに動く副尺から構成されており、対象物の外径、内径、深さ、段差などを正確に測定することができます。その高い精度と使いやすさから、工業、製造業、研究開発、ホビーなど、幅広い分野で利用されています。

ノギスの種類

ノギスには、主に以下の3種類があります。

バーニヤノギス: 副尺にバーニヤ目盛が刻まれた、最も一般的なタイプです。100分の5ミリメートル単位まで測定できます。JIS B 7507に規格が定められています。
ダイヤルノギス: 副尺の代わりにダイヤルゲージを用いて測定値を読み取ります。バーニヤノギスよりも高い精度が求められる場合に使用されます。
* デジタルノギス: 測定結果をデジタル表示で直接読み取ることができます。操作性が高く、近年普及が進んでいます。アブソリュート式とインクリメンタル式があり、それぞれの測定原理に特徴があります。

精度をそれほど必要としない用途では、バーニヤ目盛を持たない簡易ノギス（ホビーノギス）も使用されます。

ノギスの構造と測定原理

ノギスは、本尺と副尺の組み合わせによって、精密な測定を実現しています。本尺にはセンチメートルとインチの目盛が刻まれ、副尺にはバーニヤ目盛が刻まれています。バーニヤ目盛は、本尺の目盛の10分の1や20分の1の精度で測定値を読み取れるように設計されています。

測定対象をノギスのジョウ（外側測定面）で挟み込み、本尺と副尺の目盛を読み取ることで、対象物の寸法を測定します。クチバシ（内側測定面）を用いれば内径の測定も可能です。また、デプスバーを使用することで深さ測定、本尺とスライダの端面を用いることで段差測定を行うことができます。

ノギスの歴史

ノギスの起源は古く、中国の新王朝時代の王莽が紀元9年に作らせた滑り挟み尺が最古級とされています。一方、バーニヤ目盛は、16世紀のポルトガル人数学者ペドロ・ヌネシュによる発明に端を発し、「ノニウス」と呼ばれていました。その後、フランスのピエール・ヴェルニエが改良を加え、現在のバーニヤ目盛が確立されました。

日本でノギスが広く使われるようになったのは、明治時代以降です。幕末期の造船所建設において西洋技術が導入された際に伝来したと考えられています。福井藩主松平春嶽の命により大野弥三郎規周が制作した「玉尺」が日本国産初のノギスとされており、これは1855年から1861年にかけての時期に作られたと推定されています。

ノギスの使用方法

1. ジョウをスライドさせて測定対象物に当てます。
2. 本尺の目盛を読み取ります。
3. 本尺と副尺の目盛が一致する点を見つけ、副尺の目盛を読み取ります。
4. 本尺の目盛と副尺の目盛を足し合わせて、最終的な測定値を得ます。

国内メーカー

日本のノギス製造メーカーは、世界的に高い技術力とシェアを誇ります。主要メーカーとして、ミツトヨ、トラスコ中山、京都機械工具、中村製作所、新潟精機、エー・アンド・デイ、シンワ測定、松井精密株式会社などが挙げられます。ミツトヨは特に高い国内シェアを占めており、段差測定機能をノギスに追加したことで知られています。

まとめ

ノギスは、その高い精度と多様な機能から、現代社会において不可欠な測定器となっています。本記事で紹介した知識を活用し、ノギスを正しく安全に使用することで、より精密な測定を実現できるでしょう。

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