ノルディックウォーキング

ノルディックウォーキングは、2本のポール（ストック）を利用した歩行運動で、全身を使ったフィットネスエクササイズの一種です。この運動は、元々はクロスカントリー選手たちが夏のトレーニングとして取り入れたことが起源であり、彼らがポールを使って丘を歩く方法が広まりました。北欧では、「スキーウォーキング」や「ポールウォーキング」とも呼ばれ、多岐にわたる運動スタイルが融合しています。

日本では、ポールを使用するウォーキングが「ノルディックウォーキング」として認識され、特に後方にポールを突き出すことで推進力を得るスタイルが主流です。前方にポールを突くスタイルは「ポールウォーキング」として区別され、使用目的や運動効果も異なります。ノルディックウォーキングとトレッキング用ポールの使用が似ていますが、後者はよりハードな目的があるため、両者の使用条件や目的には違いがあります。

発祥と普及

ノルディックウォーキングは1930年代に始まり、オフシーズンのスキートレーニングを目的としていました。特に北欧では、男女を問わず誰でも参加できるスポーツレクリエーションとして親しまれています。1997年にはフィンランドで「ノルディックウォーキング」として正式に定義され、その後、世界中に広がりを見せました。日本でも近年、この運動が広がりを見せており、健康維持のための効果的な手段として注目されています。

利点

ノルディックウォーキングの最大の特徴は、男女や年齢に関わらず誰でも手軽に楽しめることです。この運動は全身の大部分の筋肉を使いながら行うため、健康維持や体力向上に非常に効果的です。普通の歩行に比べて、上半身の筋肉も活性化されるので、特に首や肩の血行が促されます。このような運動を行うことで、疲れをあまり感じずにより長い時間、有酸素運動を続けられます。

さらに、エネルギー消費量が平均20%増加するとされており、1時間のウォーキングで約280カロリーを消費するところノルディックウォーキングでは400カロリー程度までアップすることができると言われています。この運動はメタボリックシンドローム対策としても有効とされています。また、ポールを使うことによって足首や膝、腰などへの負担を大幅に減少させ、リハビリにも適しています。

使用する道具

ノルディックウォーキング用のポールは、使用者の身長に合わせて適切な長さを選ぶことが重要です。目安として身長×0.68の長さが推奨されており、肘が約90度になる高さで調整します。これにより、足腰の負担を最小限に抑えつつ、エクササイズの効果が最大限に引き出されます。

ポールの先端には通常滑り止めのゴムチップがついており、安全性と腕への衝撃緩和、そして床を傷つけない工夫がされています。最近では衝撃吸収スプリングを内蔵したポールも登場していますが、フィットネス用としては軽量でしなやかな素材が主流となっています。

歩行方法と教育

基本的な歩行方法は通常のウォーキングと同じで、ポールを後方に突き出して推進力を得ることが特徴です。特殊な教育プログラムである「テンステップ・プログラム」を通じて、効果的な歩行方法の指導が行われています。専門のインストラクターも日本各地で活躍しており、ノルディックウォーキングの知識と技術を広めています。

日本国内での取り組み

日本では1980年代から、ストックを使った歩行が様々な名称で親しまれてきましたが、1999年にフィンランド人コーチが「ノルディックウォーキング」として紹介したことが広まりのきっかけとなりました。近年では介護予防や生活習慣病の対策としても注目され、多くの人々がこの運動に参加しています。日本各地でNPOや団体によるサークルが活動しており、特に北海道や東北地方での普及が見られます。現在、日本におけるノルディックウォーキング人口は約4万人に達するとされています。

ノルディックウォーキングは、身体にも負担が少なく、気軽に楽しめる健康法として、今後も広がりを見せることが期待されています。

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