ハイビジョン

ハイビジョン（Hi-Vision）について

ハイビジョンとは、日本における高精細度テレビジョン放送の愛称であり、一般財団法人NHKエンジニアリングシステムによって商標登録されている。ハイビジョンは、従来のNTSC標準テレビ放送と比べて、走査線が2倍以上設けられ、より高精細な映像を提供する技術である。ハイビジョンの画面比率は、通常の4:3から人間の視野に適した横長の16:9に変更されている。

ハイビジョンの進化とテレビ規格

日本国内では、2016年時点で2種類のハイビジョン放送規格が存在し、衛星放送におけるデジタルハイビジョン（ISDB-S）と地上デジタルハイビジョン（ISDB-T）がそれにあたる。過去のBSアナログハイビジョン（MUSE）は2007年に終了し、今ではデジタル放送が主流となっている。

アナログハイビジョンの歴史

ハイビジョン映像の本格的な研究は1964年の東京オリンピック以降に始まり、科学技術の進歩により1976年には世界初のハイビジョン30インチモニターが登場した。また1982年には、初めて制作されたハイビジョン番組『日本の美』や『HDTVのためのいろいろなイメージ』が放送された。特に1989年の第40回『NHK紅白歌合戦』では、ハイビジョン収録が実施され、その後も次第にハイビジョン方式の導入が進められた。

アナログハイビジョンではMUSE方式が用いられ、多様なハイビジョン機器が開発されたが、一般家庭への普及は1996年のアトランタオリンピックにかかって推進されたものの、需給は限られていた。

MUSE方式の技術

MUSE方式は、映像と音声の圧縮技術に基づくものであり、視聴にはMUSEデコーダが必要であった。MUSEは、1,032本の圧縮対象走査線を持ち、時間軸での圧縮・混合を行っていた。このため、視聴者は高精細な映像を体験することが可能であったが、高価なデコーダを必要としたため、広範な普及には至らなかった。

デジタルハイビジョンの誕生

デジタルハイビジョン放送の潮流が始まり、日本国内ではISDB規格に基づくデジタルテレビ放送が展開された。特にBS及び地上波でのデジタルハイビジョン放送が徐々に普及し、伝送方式の差異を乗り越えた形で、より高品質な映像を視聴できる環境が整っていった。

デジタル放送の技術は、過去のアナログ方式の技術を生かしつつ新しい映像体験を提供することが可能にし、ハイビジョンから更に進化した4K、8K放送へとシフトしている。

まとめ

ハイビジョンは、日本の放送技術の進化を象徴するものであり、アナログからデジタルへの転換を経て今日の映像技術へとつながっている。今でこそ当たり前となった高精細な映像体験も、ハイビジョンの登場により実現したもので、その歴史を振り返ることは、未来の映像技術を考える上で重要である。

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