ハムシ

ハムシとは

ハムシ（葉虫、金花虫、学名：Chrysomelidae）は、コウチュウ目（甲虫目）に属する昆虫の総称です。英語では「Leaf beetle」と呼ばれ、主に植物の葉を食べる習性からこの名があります。日本国内には現在約780種の存在が確認されており、その多くは体長6ミリメートル前後と比較的小型の昆虫です。

一般的なハムシは草食性で、様々な植物の葉や茎、花などを食料とします。形は多様性に富んでいますが、全体としては単純な構造のものが多く、例えるならば小さなコガネムシのような姿をしています。ただし、特定のグループには非常にユニークな形態が見られます。

特異な形態を持つハムシ

ハムシ科には、その生息環境や生活様式に適応した remarkable な形態を持つものが少なくありません。例えば、トゲハムシの仲間は、体の背面に硬い棘状の突起が多数並び、独特の外見をしています。また、ジンガサハムシやカメノコハムシと呼ばれるグループは、その名の通り、体の縁が盾や陣笠のように平たく広がり、体を植物の葉にぴったりと押し付けて身を守るのに役立っています。ノミハムシの仲間は、発達した後脚に優れた跳躍能力を持つ器官を備えており、危険が迫るとノミのように素早く跳ねて逃避行動をとります。さらに、アカガネサルハムシのように、全身がメタリックな光沢を放つ美しい体色を持つ種もいます。

幼虫について

ハムシの幼虫は、成虫とは異なり、「イモムシ状」あるいは「ジムシ状」として知られる円筒形やC字形などのずんぐりした姿をしています。胸部には3対のしっかりした脚がありますが、チョウの幼虫などに見られる腹部の付属肢は持っていません。多くの場合、幼虫も成虫と同様に植物の葉などを食べて成長します。

生態と人間との関わり

ハムシの食性は多様ですが、多くの種が生きた植物を食べるため、農業分野においてはしばしば重要な存在となります。ウリの葉を食害するウリハムシや、イチゴに被害をもたらすイチゴハムシなどは、大量発生すると農作物に大きな損害を与えるため、代表的な農業害虫として知られています。また、形態がゾウムシに似ていることからかつてゾウムシに近いと思われていたマメゾウムシ類は、特に貯蔵された豆類などの穀物を加害することで知られています。

このように、ハムシは農作物を食害する害虫としての一面が広く認識されていますが、学術的な分野においては異なる側面も持ち合わせています。特にマメゾウムシ類の一部は、個体群の動態や進化、生物間の相互作用などを研究するためのモデル生物として、生態学分野で重要な役割を果たしています。

「羽虫」との違い

日常会話で「はむし」と言うとき、特定の分類群であるハムシ科の昆虫を指すのではなく、単に小さくて羽のある飛んでいる虫全般、いわゆる「羽虫」を意味することも少なくありません。蚊やユスリカ、コバエなど、様々な種類の小さな飛翔昆虫が「羽虫」と呼ばれることがありますが、これらは分類学的にはコウチュウ目ハムシ科とは全く異なります。本項で解説しているのは、コウチュウ目ハムシ科に属する厳密な分類群としてのハムシです。

主な下位分類

ハムシ科は非常に大きなグループであり、多様な亜科に分けられています。以下にその一部を示します。

マメゾウムシ亜科 (Bruchinae)
ハムシ亜科 (Chrysomelinae)
クビボソハムシ亜科 (Criocerinae) - 例: ヤマイモハムシ
ツツハムシ亜科 (Cryptocephalinae)
ネクイハムシ亜科 (Donaciinae)
サルハムシ亜科 (Eumolpinae)
ヒゲナガハムシ亜科 (Galerucinae)
トゲハムシ亜科 (Hispinae)
ツヤハムシ亜科 (Lamprosomatinae)
サグラ亜科 (Sagrinae)
* スピロピラ亜科 (Spilopyrinae)

これらの亜科は、それぞれの形態的特徴や生態、幼虫の生息場所などによって区別されています。例えば、ネクイハムシ亜科は水生植物に関連して生活するなど、多様な生態適応が見られます。

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