バナメイエビ

バナメイエビ：世界的に人気のエビとその課題

バナメイエビ(Litopenaeus vannamei)は、東太平洋沿岸、メキシコからペルーにかけての海域に生息するクルマエビ科のエビです。最大230mmに達し、英名Whiteleg shrimpに由来するシロアシエビという別名も持っています。その名の通り、白っぽい脚が特徴です。

生息域と形態

成体は水深72m以浅の沿岸域に生息し、幼生期は河口域で見られます。年間を通して水温20℃以上の暖かい海域を好みます。額角には7～10個の鋸歯が上側に、2～4個が下側にあります。

漁業と養殖

20世紀にはメキシコ近海で盛んに漁獲されていましたが、20世紀末からは養殖が漁獲量を上回るようになりました。養殖は1973年にフロリダで始まり、その後世界中に広まりました。特に1990年代には、養殖技術の確立により、中国や東南アジアを中心に大規模な養殖が行われるようになりました。

バナメイエビの養殖は、エルニーニョ現象による水温上昇時には生産量が増加する一方、ラニーニャ現象による水温低下時には病気の影響で生産量が減少する傾向があります。

養殖における課題

バナメイエビは、ホワイトスポット病、タウラ症候群、伝染性皮下造血器壊死症、バキュロウイルス性中腸腺壊死症、ビブリオ属感染など、様々な病気にかかりやすく、特に急性肝膵臓壊死症(AHPND)には高い致死率を示します。そのため、養殖においては病気の予防と管理が重要な課題となっています。

また、高密度での養殖や、マングローブ林の破壊、稚エビの乱獲といった環境問題、人権問題も指摘されています。2010年にはグリーンピース・インターナショナルが、バナメイエビを「シーフードレッドリスト」に掲載しました。

日本におけるバナメイエビ

日本ではクルマエビの近縁種として親しまれ、東南アジアからの輸入量が増加しています。むき身にして「むきエビ」として流通するほか、料理にも広く利用されています。しかし、2013年には食材偽装問題で、バナメイエビがシバエビと偽って販売されていた事例が発覚しています。また、2020年には沖縄県でAHPNDが発生し、大量死する事例も発生しました。これは日本で初めてのAHPNDの発生事例であり、養殖業への影響は大きかったと言えます。

まとめ

バナメイエビは世界中で消費されている重要なエビですが、その養殖には様々な課題が伴います。病気への対策、環境問題への配慮、持続可能な養殖方法の確立が求められています。消費者の側も、持続可能な漁業・養殖から生産されたエビを選ぶことが重要です。

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