ヒューレット・パッカード・エンタープライズ

ヒューレット・パッカード・エンタープライズ（HPE）詳解

ヒューレット・パッカード・エンタープライズ（HPE）は、2015年、ヒューレット・パッカードの分割に伴い設立されたアメリカの多国籍企業です。企業向けのハードウェア、ソフトウェア、そしてITサービスをグローバルに提供しており、サーバー、ストレージ、ネットワーク機器といったITインフラの中核製品群を強みとしています。Fortune 500企業に名を連ねるHPEは、デジタル変革を加速させるべく、常に最先端技術の導入と事業拡大を積極的に推進しています。

HPEの設立と事業内容

HPEは、かつて総合IT企業として知られたヒューレット・パッカードから、PCやプリンター事業などを分離独立したことで誕生しました。この分割は、各事業の専門性を高め、迅速な意思決定と経営効率の向上を目指した戦略的な取り組みでした。HPEは、企業向けITインフラ市場に焦点を絞り、サーバー、ストレージ、ネットワーク機器、そしてそれらを統合的に管理するためのソフトウェアやサービスを提供することで、市場における地位を確立しています。

競合他社であるDellやIBMは、総合IT企業としての歴史を持ち、幅広い製品・サービスを提供してきましたが、近年は事業の絞り込みや再編を行っています。Dellはパソコンからネットワーク、ストレージ、サーバまでを網羅していますが、ITサービス部門は売却しました。一方IBMは、非中核ハードウェア事業を切り離し、ITサービスやソフトウェアに注力しています。HPEは、これらの競合他社とは異なる戦略を採り、企業向けITインフラ分野に特化することで、高い競争力を維持しています。

HPEの歴史と主な出来事

HPEは2015年11月1日に設立され、初代社長には、分割前のヒューレット・パッカード社長であったメグ・ホイットマンが就任しました。その後、HPEは積極的なM&A戦略を展開し、シリコングラフィックス（ハイパフォーマンスコンピューティング）、SimpliVity（データ管理プラットフォーム）、Nimble Storage（フラッシュストレージ）など、数多くの企業を買収し、製品ポートフォリオの拡大と技術力の向上を図ってきました。また、非中核事業の整理統合も進め、DXCテクノロジーやマイクロフォーカスといった新たな企業の設立にも貢献しています。2018年にはAntonio NeriがCEOに就任し、現在もHPEの成長を牽引しています。2020年には本社をカリフォルニア州サンノゼからテキサス州ヒューストンに移転しました。これは、同社にとって国内最大の雇用拠点であったヒューストンへの戦略的な投資と言えます。

さらに、近年ではハイブリッドクラウドサービス「GreenLake Hybrid Cloud」の開始や、スーパーコンピュータメーカーであるクレイの買収など、クラウドコンピューティングやハイパフォーマンスコンピューティングといった成長市場への積極的な進出も特徴的です。2024年にはJuniper Networksの買収も発表しており、ネットワーク分野における更なる強化を図ると予想されます。

HPEの主要製品と事業部門

HPEは、大きく分けて「Intelligent Edge」、「Hybrid IT」、「Financial Services」の3つの事業部門を擁しています。

Intelligent Edge: ネットワークセキュリティプラットフォームを提供（売上比率：2018年10.1%）
Hybrid IT: コンピュータ、ストレージ、ネットワーク、ITサービスのためのプラットフォームを提供（売上比率：2018年83.3%）
* Financial Services: DX推進のための投資戦略を担当（売上比率：2018年7.8%）

主要製品としては、ProLiantサーバー、3PARストレージ、Arubaネットワーク機器などがあり、これらは世界中の企業で広く利用されています。HPEは、これらの製品群を組み合わせることで、顧客のニーズに合わせた最適なITインフラソリューションを提供しています。

まとめ

HPEは、企業向けITインフラ市場における主要プレイヤーとして、継続的な成長と技術革新を追求しています。積極的なM&A戦略、クラウドやAIへの投資、そして顧客ニーズへの迅速な対応によって、デジタル変革を支援するリーディングカンパニーとしての地位を確立し、今後もその影響力を拡大していくと予想されます。 HPEの今後の動向に注目が集まっています。

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