ピパピパ

ピパピパ（コモリガエル）

ピパピパ（学名: Pipa pipa）は、ピパ科に分類されるカエルの一種で、その特異な姿と繁殖行動で広く知られています。一般的には「ピパピパ」という名前で呼ばれることが多いですが、これは学名のカナ表記に由来するもので、標準和名は「コモリガエル」です。また、単に「ピパ」と呼ばれることもあり、この場合は同属のカエルの総称としても用いられます。英語では「Surinam toad」と呼ばれており、ヒキガエルの一種と誤解された名残が見られます。

特徴

体長は15cmにも達する大型のカエルで、その姿は一般的なカエルのイメージとは大きく異なります。頭部は三角形に尖り、体は上から押しつぶされたように扁平です。体色は褐色で、全身にはイボのような小さな突起があります。後脚には広い水かきが発達している一方、前脚には水かきがなく、指先には星形の器官があります。目は小さく目立ちませんが、口は非常に大きく開きます。また、舌がないのもピパ科のカエルの特徴で、ツメガエル類とも共通しています。

生態

ピパピパは、アマゾン川流域を中心とした南米北部の熱帯地域に生息し、一生を水中で過ごします。陸に上がることはほとんどありません。川底で前脚を前方に突き出し、「バンザイ」のような姿勢で潜んでいます。褐色の扁平な体は、枯れ葉や岩に擬態しており、捕食者や獲物の目を欺くのに役立っています。前脚の指先にある星形の器官は、節足動物の触角のように機能し、小魚や水生昆虫が触れると、大きな口で素早く捕食します。この際、口を開けて水と一緒に獲物を吸い込み、前脚で口の中に掻き込むような動作を行います。移動時は、後脚の水かきを使って泳ぎ、前脚で障害物を掻き分けながら進みます。

保育行動

ピパピパの最も特徴的な点は、メスが子を保育する行動です。産卵期になると、メスの背中の皮膚がスポンジのように柔らかく肥厚します。オスとメスは水中で抱接しながら何度も宙返りし、背泳ぎの状態になったときに産卵された卵をオスの腹部で受け止め、受精させます。回転が終わると、受精卵はメスの肥厚した皮膚組織に押し付けられ、埋め込まれます。卵は組織内で孵化し、幼生（オタマジャクシ）の時期もメスの背中で過ごします。子ガエルとなってメスの背中から出てくるまで保護されるのです。この独特な繁殖行動が「コモリガエル」という和名の由来です。

子ガエルが産まれた後、メスは出産に使われた皮膚の薄い層を徐々に脱ぎ捨て、通常の生活に戻ります。なお、ピパ属の中には、背中の皮膚の中で孵化した幼生がカエルまで成長せず、オタマジャクシの状態で泳ぎ出す種も存在します。

参考文献

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関連項目

* カモノハシガエル：別名イブクロコモリガエルと呼ばれる絶滅種で、カメガエル科に属します。ピパピパと同様に子を保育しますが、カモノハシガエルの場合は口の中で育てます（マウスブルーダー）。

外部リンク

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