ファイナル・ステージ

『ファイナル・ステージ』（原題：The Final Curtain）は、2002年に公開されたイギリスのドラマ映画です。かつては成功から程遠いヴォードヴィリアンだったJJ・カーティスは、師匠的存在であるモンティ・フランクリンの舞台事故をきっかけに、その座を引き継ぎます。予想外の出来事が転機となり、JJは瞬く間にイギリスのテレビ界で人気を博するスターへと上り詰めます。

彼の司会を務めるゲームショー番組『ビッグ・プライズ』は国民的な長寿番組となり、JJはイギリスのショービズ界のゴッドファーザーと呼ばれるほどの実力者となります。しかし、成功の絶頂期にあったJJは、次第に傲慢さを増していきます。自身の気に入った挑戦者しか選ばないなど、独断的な行動が目立つようになりました。

時代は変わり、若い視聴者層はより過激な演出を求めるようになります。一方、JJとは犬猿の仲であるライバル、デイヴ・ターナーが司会を務める番組『カレント・アカウント』が、高い視聴率を獲得し始めました。『ビッグ・プライズ』は視聴率低迷に苦しむことになります。しかし、JJはアメリカへの放映権取引に固執し、その成功に執着します。

そんな中、JJはかかりつけ医であるコルワース医師から、余命宣告を受けます。彼は自身の半生を伝記として残すため、新進気鋭の小説家ジョナサン・スティッチに取材を依頼します。スティッチと共にアメリカでの放映権取引に奔走するJJでしたが、取引相手は既にターナーの番組購入を決めていたことが判明します。

この状況に激昂したJJは、デイヴを貶める計画を企てます。一方、余命宣告を突きつけ、JJにつきまとうコルワース医師を無視し続けたJJでしたが、ついに医師を捕まえてしまい、激しい口論に発展します。その混乱の中、スティッチは路上にあったゴミ箱でコルワース医師の頭を殴りつけてしまいます。JJはこの事態を好都合と捉え、スティッチを逃がした後、瀕死のコルワース医師にとどめを刺します。

スティッチは、JJへの罪悪感と不信感から、彼の過去を徹底的に調査し始めます。周囲の人物への取材を通して、JJの隠された暗い過去や、これまで隠蔽されてきた数々の不正行為が明らかになっていきます。

映画『ファイナル・ステージ』は、ピーター・オトゥール、エイダン・ギレン、エイドリアン・レスターら豪華俳優陣が出演しています。ピーター・オトゥールは、傲慢さと虚弱さを併せ持つ複雑な主人公JJ・カーティスを見事に演じきっています。エイダン・ギレンはライバルのデイヴ・ターナーを、エイドリアン・レスターはJJの伝記を書く小説家ジョナサン・スティッチを演じています。他に、ジュリア・サワラ、パトリック・マラハイド、ラルフ・ブラウンといった実力派俳優が脇を固めます。

監督はパトリック・ハーキンス、脚本はジョン・ホッジが担当しています。イギリスのテレビ界を舞台にした、人間の業と時代の流れを巧みに描いた、重厚なドラマ作品です。成功と挫折、栄光と転落、そして衝撃的な結末は、観る者の心に深い余韻を残します。様々な要素が絡み合い、最後まで目が離せない、見応えのある作品と言えるでしょう。

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