フクロネコ

フクロネコ（Dasyurus viverrinus）

フクロネコは、フクロネコ形目フクロネコ科に属する有袋類です。オーストラリア（タスマニア州）に分布していますが、かつて生息していたニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、南オーストラリア州では絶滅しています。

形態

フクロネコの体長は、オスで32 - 45cm、メスで28 - 40cm。体重はオスで850 - 1550g、メスで700 - 1100gです。体色は黒や灰色で、不規則な白い斑点が入ります。尾には斑点がありません。乳頭数は6個です。

生態

フクロネコは、熱帯雨林や低木林など、様々な環境に生息しますが、農耕地に囲まれた乾燥した草原やモザイク状になった森林を好みます。夜行性で、昼間は岩や倒木の下、地面に空いた巣穴などで休みます。

食性は雑食で、主に昆虫を捕食しますが、鳥類、ウサギ類やバンディクート類などの哺乳類、トカゲ科や小型のコブラ科などの爬虫類、魚類、ミミズ、動物の死骸、果実なども食べます。獲物を捕える際には、後頭部に噛みつきます。

繁殖様式は胎生です。交尾は5月下旬から6月上旬に行われ、妊娠期間は19 - 23日です。1回に20 - 27頭の幼獣を産みます。しかし、乳頭数が6個と限られているため、最大6頭までしか授乳できず、幼獣の死亡率は高くなっています。幼獣は生後7週間は育児嚢の中で生活し、生後1年で性成熟します。

人間との関係

フクロネコは、ネコやアカギツネによる捕食や感染症の伝搬などにより生息数が減少しています。また、違法な罠による狩猟や交通事故なども、生息数減少の要因となっています。オーストラリア大陸部では既に絶滅しており、近年アカギツネがタスマニア島にも侵入したことから、更なる影響が懸念されています。

フクロネコは、オーストラリアの生態系において重要な役割を果たしている動物です。その保全のためには、外来種の管理や生息地の保護など、様々な対策が必要です。

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