フジテック

フジテック株式会社：エレベーター・エスカレーター専業メーカーの歩みと現状

フジテック株式会社は、滋賀県彦根市に本社を置く、エレベーターとエスカレーターの製造・販売を専門とする大手企業です。国内シェアはエレベーターで4位、エスカレーターで5位と、業界をリードする存在感を示しています。特に近畿地方や西日本においては、同業他社を圧倒するトップシェアを誇ります。

設立から現在までの歴史

1948年、内山正太郎氏によって大阪府大阪市に「富士輸送機工業株式会社」として創業しました。以来、エレベーター・エスカレーター業界で着実に成長を続け、1974年には社名を現在の「フジテック株式会社」に変更。1963年には大阪証券取引所2部、1970年には東京証券取引所2部に上場を果たし、その後1部へ指定替えするなど、順調な発展を遂げてきました。

本社は2006年、滋賀県彦根市の「ビッグウィング」に移転。この施設には研究開発部門や生産部門も集約され、同社の事業の中核を担っています。その他、日本国内にエレベーター工場（彦根市）、エスカレーター工場（兵庫県豊岡市）、海外にもアメリカ、インド、中国、台湾、香港、韓国などにエレベーター工場、中国にエスカレーター工場を展開するなどグローバルな事業展開を進めています。

製品群と技術力

フジテックは、多様なニーズに対応する幅広い製品ラインナップを誇ります。標準的なエレベーターから、省スペース型、高機能型、ユニバーサルデザイン対応型、さらには駅舎向けの貫通式エレベーター「RAKUL」など、用途や建物規模に合わせた最適な製品を提供しています。特に、2012年以降に本格展開された「XIOR」シリーズは、高い安全性と快適性を備え、シェア拡大に大きく貢献しています。

エスカレーターについても、グローバルスタンダードモデル「GSシリーズ」や省スペースモデル「Slimfit」など、多様な製品を開発・販売しています。 これらの製品には、非接触ボタン「AirTap」や、省エネルギー技術、安全機能強化といった最新の技術が取り入れられています。

近年の出来事

近年、フジテックは経営面でも大きな変化を経験しました。2022年には、大株主である投資ファンド「オアシス」との間で経営陣の刷新を巡る紛争が発生し、創業家出身の社長が退任。その後も株主総会での取締役の解任や、第三者委員会の設置などが相次ぎ、企業ガバナンスの課題が浮き彫りとなりました。これらの出来事は、企業の透明性と責任ある経営の重要性を改めて示すものとなりました。

事故・トラブル

フジテックの歴史においては、製品に関する事故や、会計上の不祥事などの問題も発生しています。1984年にはエレベーターの設計不備による死亡事故、2007年には強度不足の鋼材使用問題、2006年から2010年にかけては多額の税務申告漏れなどが明るみに出ており、これらの問題を通して、同社は安全対策やコンプライアンスの徹底、更なる企業改革の必要性を痛感させられたと言えるでしょう。2024年には新たにエスカレーターの事故が発生しており、安全管理体制の見直しにさらなる課題が提示されています。

今後の展望

フジテックは、国内外で高いシェアを誇るエレベーター・エスカレーター専業メーカーとして、今後も技術革新と安全性の向上に努め、顧客ニーズに応える製品開発に取り組んでいくことが期待されます。企業ガバナンスの強化や、発生した事故や不祥事からの学びを活かし、信頼回復に向けた取り組みも重要となるでしょう。

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