フレアバーテンディング

フレアバーテンディングとは

フレアバーテンディングとは、バーテンダーがボトルやシェーカー、グラスなどを巧みに操り、曲芸的なパフォーマンスをしながらカクテルを提供するスタイルです。フレアバーテンディングの技術を持つバーテンダーは、フレアバーテンダーと呼ばれます。「フレア (flair)」は英語のスラングで、主に「自己表現」という意味合いで使用されます。

歴史

フレアバーテンディングの起源は、19世紀のアメリカ人バーテンダー、ジェリー・トーマスが考案したカクテル「ブルー・ブレイザー (Blue Blazer)」のパフォーマンスにあるとされています。これは、点火したウイスキーを2つのグラス間で交互に移し替えるという、視覚的にも華やかなものでした。

フレアバーテンディングという名称は、アメリカのレストランバーチェーンであるT.G.I.FRIDAY'Sの講師、マイク・ワーナー (Michael (Mike) Werner) によって初めて用いられたとされています。

1988年に公開された映画『カクテル』は、フレアバーテンディングを一般に広める大きなきっかけとなりました。この映画の撮影では、T.G.I.FRIDAY'Sのジョン・バンディ (John Bundy) が主演のトム・クルーズにフレアバーテンディングの技術指導を行っています。2003年には、T.G.I.FRIDAY'Sの金城光浩が日本人として初めてフレアバーテンディングの国際大会で優勝を果たしました。

フレアバーテンディングの分類

フレアバーテンディングは、その目的や場所に応じていくつかの種類に分類できます。

ワーキング・フレア: バーの通常の営業中に行われるフレア。実用性を重視し、スムーズなカクテル作りを意識したパフォーマンスが中心です。
エキシビション・フレア: パーティーなどで行われるフレア。パフォーマンス性が重視され、観客を楽しませることを目的としています。
フリースタイル: エキシビション・フレアよりもさらにパフォーマンスに特化したスタイル。オリジナリティ溢れる技や演出が重視されます。
コンペティション・フレア: 競技会で行われるフレア。技術の正確さや独創性などが評価されます。

フレアバーテンディングの用語

フレアバーテンディングで使用される主な用語を紹介します。

ポア (Pour): 酒やジュースを注ぐこと。ポアリングとも呼ばれます。
スピル (Spill): 酒やジュースを溢れさせること。スピレッジとも呼ばれます。
トス (Toss): 回転をかけずにボトルなどを放り投げること。
フリップ (Flip): 回転をかけてボトルなどを放り投げること。縦フリップと横フリップがあります。
グリップ (Grip): ボトルやシェーカーなどを握ること。
キャッチ (Catch): ボトルやシェーカーなどを掴んで受け止めること。
バランス (Balance): 手の甲、肘、頭などの身体の一部で、ボトルなどのバランスを取ること。
スピン (Spin): ボトルやティンなどを、手から離さずに回転させること。
バウンス (Bounce): ボトルやティンなどを、身体を使って弾ませること。
ネック (Neck): ボトルの首にあたる部分。
ボトム (Bottom): ボトルの下部。ボディとも呼ばれます。
レギュラーグリップ (Regular Grip): ボトルを置いた状態で、そのままネックを握る握り方。
リバースグリップ (Reverse Grip): ボトルを置いた状態で、逆手でネックを握る握り方。
タンデム (Tandem): 二人一組のチームワークで行うこと。

フレアバーテンディングが登場する作品

フレアバーテンディングは、映画やテレビドラマ、コミックなど、様々な作品に登場しています。

映画: 『カクテル』(1988年、アメリカ合衆国、主演：トム・クルーズ)
テレビドラマ: 『FLAIR BARTENDER'Z』(2022年、毎日放送)
コミック: 『まどろみバーメイド』(早川パオ、芳文社コミックス)

外部リンク

ANFA（アンファ）- 全日本フレア・バーテンダーズ協会 - 公式ホームページ

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