ブラックロック

ブラックロックの概要

ブラックロック（BlackRock Inc.）は、アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市に本社を構え、世界最大の資産運用会社として知られています。2021年末時点での運用資産残高は約10兆ドル（約1,153兆円）に達し、その規模は日本のGDPの約2倍に相当します。グローバルに展開する同社は、約30ヶ国で70のオフィスを持ち、18,000人以上の従業員を抱えています。特に、S&P500に構成される80%以上の企業の大株主としての地位を有し、その影響力は非常に大きいです。

会社の成り立ちと成長

ブラックロックは1988年に、元々は債券運用のブティック会社として設立されました。設立当初から債券運用に特化していたものの、経営統合や買収を通じて事業を拡大し、株式やオルタナティブ投資、アドバイザリー戦略など多様な金融サービスを提供する総合資産運用会社へと成長しました。特に、2006年のメリルリンチとの経営統合や2009年のバークレイズ・グローバル・インベスターズの買収は、同社の成長を大きく後押ししました。

ブラックロックは、主にファンドを通じて主要な上場企業の株式を保有することで知られています。資産管理テクノロジーの「アラディン」といったソリューションを金融機関や機関投資家に提供し、運用業界のデジタルトランスフォーメーション（DX）を促進しています。加えて、ブラックロック職員は、ウォール街においても重要なトレーディングパートナーであり、米国の金融業界に強い影響力を持っています。

経済への影響

特に、ジョー・バイデン政権下では、ブラックロック出身者が国家経済会議や財務省の要職に就任し、その影響力が一層高まっています。また、米国の資産運用業界では、ブラックロック、バンガード、ステート・ストリートの3社が「ビッグ・スリー」と呼ばれる集中状態にあり、これが資本市場の動向に強く影響を与えています。

ESG活動とその課題

最近の投資家の関心が短期的なパフォーマンスから長期的な持続可能性へと移行する中で、ブラックロックもESG（環境・社会・企業統治）を重視した投資に力を入れています。しかし、一部の上場投資信託ETFが軍需企業や石油関連企業に投資していることが批判を浴びており、持続可能な投資の真剣さが問われています。投資先企業に対しては、毎年手紙を通じて経営者にサステナビリティの重要性を訴えかけています。

未来に向けて

ブラックロックは1999年にニューヨーク証券取引所に上場し、現在もS&P500など主要な株価指数に組み込まれている企業です。今後も、その影響力を活かしつつ、社会的責任を果たす持続可能な投資を推進していく姿勢が求められています。

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