ブレーキキャリパー

ブレーキキャリパー：種類と特徴

ブレーキキャリパーは、ディスク[[ブレーキ]]システムにおいてブレーキパッドをローターに押し付け、摩擦によって制動力を発生させる重要な部品です。その材質、作動方式、構造は多様で、車両の種類や性能によって最適なタイプが選択されています。

1. 材質

ブレーキキャリパーには、摩擦熱に耐え、放熱性が高い素材が求められます。そのため、自動車用キャリパーは主に鋳鉄が使用されます。一方、オートバイやスポーツカーなどでは、軽量化と放熱性の両立を図るためにアルミ合金製キャリパーが採用されることもあります。

キャリパー内部には、ブレーキピストンが組み込まれています。このピストンの数は、キャリパーの性能と価格に大きく影響します。ピストンは、一般的にアルミ合金製またはクロームメッキされた鉄製が使用され、その数は「ポット」で表記されます（「ポッド」は誤り）。

2. 作動方式

ブレーキキャリパーの作動方式は大きく分けて機械式と油圧式があります。

2.1 機械式ブレーキキャリパー

機械式キャリパーは、ワイヤー駆動によってブレーキパッドを操作します。構造が単純であるため、初期のディスク[[ブレーキ]]に多く用いられていましたが、倍力装置が装備できず、制動力の向上に限界がありました。そのため、現在では競技用自転車のディスク[[ブレーキ]]などで限定的に使用されるのみとなっています。かつて一部の油圧式ディスク[[ブレーキ]]車では、リアキャリパーに機械式パーキング[[ブレーキ]]機構が採用されていましたが、制動力不足のため、現在はハブ内部に小型のドラム[[ブレーキ]]機構を内蔵したインナードラム式に取って代わられています。

2.2 油圧式ブレーキキャリパー

油圧式キャリパーは、ブレーキフルードの油圧でブレーキパッドを操作する方式です。倍力装置を備えることで、容易に制動力を強化でき、対向ピストン式など様々な形式への発展も容易なため、現在では自動車やオートバイのほとんどで採用されています。

3. 構造

ブレーキキャリパーの構造は、大きく分けてフローティングキャリパーと対向ピストンキャリパーがあります。

3.1 フローティングキャリパー

フローティングキャリパーは、ピストンがキャリパーの一側に配置され、片側のパッドのみを直接押して制動力を発生させる構造です。キャリパーベースとキャリパー本体の2つの部品から構成され、キャリパー本体はスライドピンによってキャリパーベースに支持され、ブレーキディスクに対して平行移動します。片側のピストンがパッドを押すと、その反力で反対側のパッドもディスクに押し付けられる仕組みです。

コンパクトで、ホイールとのクリアランスを確保しやすいというメリットから、軽自動車やコンパクトカーなどで多く採用されています。通常は1ピストンですが、軸荷重の大きい車両では2ピストンタイプも使用されます。剛性面では対向ピストン式に劣りますが、コストを抑えつつ十分な制動力を得られるため、広く普及しています。

3.2 対向ピストンキャリパー

対向ピストンキャリパーは、ピストンがキャリパーの両側に配置されているタイプです。構造が剛性が高く、複数ピストンの採用も容易なため、高性能車や重量のある車に多く用いられます。初期のディスク[[ブレーキ]]では主流でしたが、近年ではフローティングキャリパーの普及によりその数は減少しています。ピストンの数は2ピストンから、レース車両では12ピストンまで様々です。

3.3 モノブロックキャリパー

モノブロックキャリパーは、対向ピストンキャリパーの一種で、キャリパー本体が一体構造となっているタイプです。加工が複雑で高価ですが、非常に高い剛性を実現できるため、モータースポーツを中心に使用されています。近年では、その高い性能を活かして、高性能スポーツカーなどにも採用されるようになってきています。

まとめ

ブレーキキャリパーは、材質、作動方式、構造によって様々な種類があり、それぞれの特性を活かし、様々な車両に最適なタイプが選択されています。近年では、軽量化や高性能化のニーズから、アルミ合金製やモノブロックキャリパーの採用が増えています。

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