プラット・アンド・ホイットニー

プラット・アンド・ホイットニー（Pratt & Whitney）

プラット・アンド・ホイットニーは、アメリカ合衆国を拠点とする航空機用エンジンのブランドで、レイセオン・テクノロジーズ（RTX）の一部門です。この企業は、民間航空機用エンジンから軍用エンジン、さらにはロケットエンジンまで広範な製品ラインを持っています。航空機エンジン市場では、GEアビエーション、ロールス・ロイスと並ぶ世界的なビッグ3の一つとされています。

歴史的背景

1860年、フランシス・プラットとエイモス・ホイットニーの二人によってコネチカット州ハートフォードに設立され、当初はミシンや、南北戦争の際の軍用銃を作るための工作機械を製造していました。しかし、1925年、フレデリック・ブラント・レンチュラーが提案した航空機用エンジンプロジェクトが企業の方向性を大きく変えました。このプロジェクトにより、プラット・アンド・ホイットニーは新たに航空機用エンジンの製造を開始し、最初のエンジン「ワスプ」を開発します。このエンジンは425馬力を記録し、アメリカ海軍に200台が導入されるなど、航空業界に多大な影響を与えました。

1929年には、レンチュラーがプラット・アンド・ホイットニーを離れつつも、その名を引き続き使用できるようにする契約が結ばれました。その後、この企業はユナイテッド・テクノロジーズに組み込まれ、関連会社としてプラット・アンド・ホイットニー・カナダを設立。ここでは主に小型飛行機用エンジンを製造しました。

現在、プラット・アンド・ホイットニーはコネチカット州イーストハートフォードに本社を構え、複数の工場を持ち、広範な製品を手がけています。大型エンジンはもちろん、様々な用途に合わせたエンジンの設計と製造が行われています。

主な製品と搭載機

プラット・アンド・ホイットニーは、多数の航空機に搭載されるエンジンを製造しています。

例えば、JT3C、JT3D/TF33などは、ボーイング707やダグラスDC-8などに使用されています。さらに、JT8Dエンジンはボーイング727や737など多くの機種に適しています。また、PW1000Gなどは、エアバスA320neoやボンバルディアCシリーズなどの新しい機種にも叩き込まれています。

軍用機向けにも、多様なエンジンラインが揃っています。例えば、F-15イーグルやF-22ラプターのような最新鋭の戦闘機には、それぞれ特製のエンジンが搭載されています。さらに、SR-71 ブラックバードなどの高性能機にもプラット・アンド・ホイットニーの技術が盛り込まれています。

未来展望

プラット・アンド・ホイットニーは、航空機エンジンの製造だけでなく、電力供給や鉄道、航海用エンジン等、様々な分野での技術革新を追求しています。将来的には、環境性能の向上や持続可能なエネルギー源の利用に向けた研究開発を強化し、持続可能な航空の実現を目指しています。

総じて、プラット・アンド・ホイットニーは、設立から160年以上の歴史を持ち、この間に数々の技術革新を遂げてきました。世界中の航空機において重要な役割を果たし続け、今後もその進化に期待が寄せられています。

もう一度検索