ヘルワン

ヘルワーンは、エジプトの首都カイロの南郊に位置する地区で、ナイル川の東岸に広がっています。古代都市メンフィスの対岸にあたり、古くから交通の要衝として栄えてきました。2008年から2011年の短い期間には、独立した都市としてヘルワーン県の県都でしたが、その後カイロ県に再編入されました。

ヘルワーンは、エジプトにおける重要な工業地帯の一つです。鉄鋼、織物、セメントなどの工場が多数立地しており、地域経済を支えています。また、温泉が湧き出る場所としても知られており、観光資源としても活用されています。カイロ地下鉄1号線の終点駅があるため、カイロ中心部からのアクセスも良好です。

教育機関としては、ヘルワーン大学が有名です。多くの学生がここで学んでおり、地域における学術の中心となっています。

ヘルワーンには、歴史的な建造物もいくつか残っています。ケディバル天文台は、1903年から1904年にかけてハレー彗星の観測に使用されました。また、ビーマン病院は1939年に設立されたエジプト最古の私立精神病院です。

20世紀初頭には、ヘルワーン空軍基地が存在しました。当初は英国空軍が使用していましたが、その後エジプト空軍に引き継がれました。この基地は、エジプトの航空史において重要な役割を果たしました。

このように、ヘルワーンは工業、教育、歴史が混ざり合った多様な顔を持つ地域です。カイロの衛星都市として、今後も発展が期待されています。

もう一度検索