ポンパ

ポンパ（POMPA）: 日立のカラーテレビマスコット

ポンパは日立製作所が1960年代末から1970年代にかけて展開したカラーテレビの宣伝マスコットで、特にキドカラーのキャッチフレーズとして使用されました。この名前は瞬時に映像が映し出されるテレビ技術を象徴しており、消費者に広く認知される存在となりました。

劇的な技術進化

真空管全盛期の頃、テレビ受像機は電源を入れてから画面が安定するまでに約1分を要していましたが、日立はRCAから技術供与を受け、その技術を活かして待機中のブラウン管や真空管のヒーターを予熱させる方法を採用しました。この結果、瞬時に映像が表示されるテレビの実用化に成功しました。この技術の進化によって、消費者に大きな利便性を提供したのです。

また、『キドカラー』は1960年末に全面的にトランジスタを導入することで、さらにウォーミングアップ時間を短縮しました。真空管を使用しないソリッドステート化が達成され、通称「ポンパ」として親しまれる製品が誕生しました。電源スイッチを「ポン」と入れると、画面が「パッ」と点灯し、故障率も飛躍的に低下しました。このような利点をアピールした結果、ポンパは2年間で100万台を販売するヒット商品となりました。

広報活動とキャラクター展開

キドカラーの導入時、日立は『キド坊や』というインディアンを模したキャラクターを使用した大型の飛行船『キドカラー号』を飛ばし、消費者への認知度を高める施策を実施しました。また、作詞作曲は小林亜星で、ザ・ピーナッツが歌唱した『日立キドカラーの歌』を通じて、さらなる広がりを見せました。

次に、ソリッドステート化の際に登場したのが、烏を模したキャラクター『ポンパ君』です。このキャラクターは、真空管を一切使用しない点を強調した宣伝に起用され、「ポンパ」と呼ばれることもありました。さらに、日本国有鉄道との提携により、蒸気機関車と改造客車で構成された移動ショールーム『日立ポンパ号』が全国を巡るなど、販促活動に力を注いだことで、広く浸透しました。

変遷と再登場

1970年代後半、ポンパ君はイメージキャラクターとしての役割を終え、姿を消しましたが、その後も1990年代にはカラーテレビの取扱説明書に挿絵として描かれるなど、根強い存在感を示しています。また、キドカラー販売店にはポンパ君の像が残されているところもあり、今なおファンに親しまれています。

さらに1990年代後半にはワイド/フラットテレビ「マジックウインドゥ」のCMキャラクターとして一時復活し、本木雅弘と共演しましたが、この時のポンパ君は従来とは異なるデザインで全体がボサボサな印象でした。

文化的影響

ポンパはただのマスコットではなく、日本のテレビ過程の重要な象徴でもありました。たとえば、2007年の芥川賞受賞作『アサッテの人』で登場人物が「ポンパ」というフレーズを発する場面があり、TBS系列「リンカーン」でも紹介されるなど、文化的な印象も持っています。こうした背景から、ポンパは日立製作所のカラーテレビが持つ革新性と快適さを象徴する存在として、多くの人々の心に残り続けているのです。

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