マルセイバターサンド

マルセイバターサンド：北海道を代表する銘菓の物語

北海道帯広市に拠点を置く六花亭が製造・販売するマルセイバターサンドは、同社の売上高のおよそ4割を占める看板商品です。北海道を代表する土産菓子として、国内外で高い知名度を誇ります。パッケージに描かれた特徴的なロゴから「バナリタ」の愛称で親しまれ、多くの人々を魅了し続けています。

独特の風味と食感

マルセイバターサンドは、六花亭が独自に開発した北米産小麦粉を使用したサクサクとしたビスケット生地が特徴です。その中には、北海道産生乳100%のバターと、カリフォルニア産レーズン、そして六花亭が日本で初めて商品化したホワイトチョコレートを組み合わせた、濃厚で芳醇なクリームがサンドされています。このクリームに使用されるバターは、マルセイバターサンド専用に作られたもので、ビスケット生地にも、クリームにもたっぷりと使用されているのが特徴です。また、十勝ワインと同じ原料を使った十勝ブランデーを隠し味として加え、レーズンの芯を残さないようラム酒を使用するなど、細部までこだわった製法が、このお菓子の奥深い味わいを生み出しています。

歴史と開発秘話

1977年、六花亭製菓の社名変更を記念して発売されたマルセイバターサンド。その誕生には、1968年から販売されていた人気商品、六花亭のホワイトチョコレートが大きく関わっています。新たなホワイトチョコレートを使った菓子を模索する中で、当時高い評価を得ていた小川軒のレーズンウィッチを参考に開発が進められました。しかし、単に模倣するのではなく、六花亭の主力製品であるホワイトチョコレートと、フレッシュバターを組み合わせた独自のレーズンバターを使用。ショートニングを使うレーズンウィッチとは異なり、時間の経過後もサクサクとした食感を維持することに成功しました。この食感を実現するためには、材料の選定から製造方法に至るまで、開発に5年もの歳月を費やしたと言われています。

マルセイという名称は、明治38年(1905年)に依田勉三が北海道で初めて商品化したバター「マルセイバタ」に由来しています。「マルセイ」は円の中に「成」の字を配したもので、依田勉三が設立した晩成社のロゴマークでした。当時のバターは「バタ」と呼ばれており、マルセイバターサンドのパッケージには、このマルセイバターのラベルを復刻したデザインが採用されています。レトロな雰囲気のパッケージも、この商品の魅力の一つとなっています。

変わらぬ人気と高い評価

発売以来、爆発的な人気というわけではありませんでしたが、マルセイバターサンドは常に安定した人気を誇ってきました。2003年には、年間生産量が7400万個から1億個へと大幅に増産されるほどです。六花亭の売上高の約4割を占める主力商品であり、2012年の年間売上高は約75億円に達しました。ピーク時の1日の販売個数は約60万個にものぼったといいます。

[北海道]]旅行者からの評価も非常に高く、2002年の北海道新聞情報研究所によるインターネットモニター調査では、「道外土産に購入したいお菓子」として白い恋人]に次ぐ27%を獲得しました。「[北海道を代表する銘菓」としても、白い恋人]に次ぐ26%と高い支持を得ています。2009年の[[朝日新聞社によるアンケート「食べたい手みやげ」では、8834人中2244票を獲得し、堂々の1位を獲得するなど、その人気は揺るぎません。

著名人からも高い評価を得ており、作家・泉麻人氏、お笑いタレント・片桐仁氏、文筆家・甲斐みのり氏など、多くの著名人がマルセイバターサンドの魅力について語っています。甲斐みのり氏は、個別包装されていることや、北海道内の六花亭直営店や新千歳空港などで容易に入手できる点を高く評価し、「土産菓子の鑑のよう」と評しています。

マルセイバターサンドは、素材へのこだわり、丁寧な製法、そしてレトロで親しみやすいパッケージが三位一体となり、多くの人々を魅了するロングセラー商品として、これからも北海道を代表する銘菓であり続けるでしょう。

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