ミドリフグ

ミドリフグ（緑河豚）

ミドリフグ（学名：Dichotomyctere nigroviridis）は、フグ科に属する独特な外観を持つ魚です。最大体長は17 cmに達し、その背面と側面は黄緑色で黒い斑点に覆われています。一方、腹部は白色です。この色彩はその名の通り、観賞魚としての評価を高めています。

生息地域と生態

ミドリフグは、インド、スリランカ、タイ、インドネシア、フィリピンなど、主に熱帯地域に分布しています。これらの魚は汽水域で生息し、時には淡水域へ遡ることもあるため、環境の変化に適応する能力に優れています。彼らの食性は雑食性であり、主に小型の無脊椎動物や藻類、その他植物性のものを食べることが観察されています。

人との関わり

観賞魚として広く人気を集めており、特に2-3 cm程度の幼魚は熱帯魚店で多く見かけます。ミドリフグは、同種または温和な魚と同じ水槽で飼うことができる場合もありますが、攻撃的な性格から鰭や鱗を噛み付くことがあるため、一般的には単独飼育が推奨されています。通常、飼育下での体長は10 cmほどに制限されます。

飼育環境では、生き餌やアカムシ（ユスリカの幼虫）などの冷凍餌を好む傾向がありますが、早い段階から固形飼料にも慣らすことで人工飼料も食べるようになります。この魚は歯が常に伸び続けるため、硬い餌を噛み砕く過程で、歯が伸びすぎると摂餌が難しくなります。そのため、歯の先端を切る必要が時折生じます。水槽にサンゴの小片を設置すると、それを齧ることで歯の過剰な成長を抑えられることがあります。

短期的には淡水でも飼育可能ですが、長期的には塩分が必要です。幼魚の時期には海水の約1/4の塩濃度が好まれます。成魚になると海で活動することが多いため、飼育水の塩濃度を次第に高めていくことが望まれます。最終的には、成魚では半海水以上にすることが推奨されます。また、適した水温は24-28 ℃、pHは8程度のアルカリ性です。

ゲノムプロジェクト

ミドリフグは、ゲノムサイズが脊椎動物中で最小であることから、遺伝学研究のモデル生物として注目を集めています。2004年には本種のゲノムのドラフト配列が発表され、研究の進展に寄与しています。

毒性

最後に、ミドリフグはフグ毒（テトロドトキシン）を含むため、その取り扱いには注意が必要です。全体の毒量は主に皮膚に多く含まれ、消化管や筋肉には少ないとされていますが、肝臓は毒を持たないため安全です。飼育下の個体が毒化するかどうかについては、現時点では不明とされています。

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