メタトロン

メタトロンの神秘と役割

メタトロン（ヘブライ語: מטטרון‎）は、ユダヤ教における天使の一人であり、キリスト教やイスラム教の一部の派でも天使として知られています。彼に関する情報は主に中世ユダヤ神秘思想や聖書偽典に見られ、タナハや新約聖書、クルアーンには明確な記述がありません。

メタトロンの姿と特徴

メタトロンは、特異な姿で表現されることが多く、その姿は世界の広さに匹敵する長身と言われています。彼は36対の翼と、無数の目を持つ「炎の柱」として描かれることが一般的です。数に関する伝承の中には、目の数が36万5000であるとの説もあります。この異様な表現は、彼の持つ神聖な力や役割を表しています。

メタトロンの異名と役割

メタトロンについては多くの異名が存在し、一般的には「契約の天使」「天の書記」「神の代理人」「小YHWH」などと称されます。中には、彼は72の異名を持つとも言われています。また、中世のユダヤ神秘主義者たちは、彼と『出エジプト記』に登場する「太陽よりも燦然と輝く」御使いを同一視し、神からの導きを示す存在として捉えています。

メタトロンの起源と語源

「メタトロン」の語源は、ギリシア語の「メタトロニオス」に由来し、「玉座に侍る者」を意味します。また、彼の異称である「ミトロン（Mittron）」は、ペルシャ神話の神ミトラとの関連が指摘されることもあります。ミトラはローマでミトラスとして、ゾロアスター教でミスラとして知られ、正義や契約の神として崇拝されていました。その属性はメタトロンの持つ特徴と驚くほど一致しています。

メタトロンの役割と神秘的性格

伝承によれば、メタトロンはアブラハムを導いた古代ユダヤの天使ヨエル（Johel, Yohel）の性格を受け継いでいるとされています。現在、ヨエルはメタトロンの別名としても知られ、神と同一視されることがあるのは、YHWHとYOHELの名称が意識されているからだとも考えられています。彼は生命の樹の第一及び第十のセフィラを守護するとされ、多くの神秘的な役割を担っています。

メタトロンにまつわる逸話

興味深いことに、メタトロンに関する逸話の中には、自身に背いた者たちを串刺しにしたという話も存在しています。この物語は、彼の持つ力強さとその神秘的な性格を象徴しています。メタトロンは単なる天使という枠を超えて、神聖で強力な存在として信じられ、自らの力をもって神の意志を伝える者として広く知られています。

メタトロンについての伝承は、興味深い神秘に満ちたもので、彼の存在がいかにユダヤ教、そして他の宗教においても重要な位置を占めているかを示しています。彼の特徴や役割への理解を深めることで、宗教的な視点からの洞察が得られることでしょう。

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