リチャード・ブランド

リチャード・ブランドの生涯と業績

リチャード・ブランド（1710年5月6日 - 1776年10月26日）は、バージニア植民地出身の政治家であり、アメリカ独立戦争において大陸会議の代表を務めた人物です。ブランドは植民地における思想形成に貢献し、建国の父の一人に数えられています。

家族背景と生い立ち

ブランドの家系は、彼の祖父セオドリック・ブランド（1630-1671）の移民から始まります。セオドリックは1653年にロンドンからバージニアに渡り、ジェイムズ川沿いにバークレー・プランテーションを設立しました。また、バージニア植民地議会議員を歴任し、1660年には議長に就任しました。彼は3人の息子、セオドリック、リチャード、ジョンをもうけました。

ブランドの父、リチャードは川を遡り、現代のプリンス・ジョージ郡にジョーダンズ・ポイント・プランテーションを設立しました。彼は二度結婚し、5人の子供を授かりました。リチャード・ブランドはその中で3番目の子供として誕生し、父の死後、10歳の頃に農園を相続しました。初期の教育は叔父の助けを借りて受け、ウィリアム・アンド・メアリー大学を卒業しました。

政治活動の始まり

ブランドは、1739年からはプリンス・ジョージ郡の治安判事、1742年からは植民地議会議員として活動を開始しました。彼は議会の指導者の一人となり、法律や条令の形成に貢献しました。また、彼は多くの著作を匿名で発表し、植民地の権利を擁護しました。

1759年には「2ペンス法に関する聖職者宛てレター」を発表し、教会の問題や聖職者への課税に反対する意見を表明しました。この小冊子は広く配布され、植民地の中での人気を博しました。

植民地の権利の擁護

1765年の印紙法施行時、ブランドはこの法律が植民地議会の権限を妨げると考え、イギリス国会が植民地に対して権利を主張することに反対しました。彼は「イギリスの植民地の権利に関する質問状」を執筆し、これが1734年に出版されました。トマス・ジェファーソンもこの文書を高く評価し、重要な意義を持つと認めました。

1774年にブランドは、フィラデルフィアで行われる第一次大陸会議にバージニアの代表として選出されました。彼の主張は会議の議論において影響を与え、「権利の宣言」に結実しました。

バージニア域内での活動

1775年、バージニアで独立の動きが本格化する中、ブランドは特別政府としての新しい会議体の設立に参加しました。この年の議会では、パトリック・ヘンリーの有名な演説の後に武力行使に対する意見を述べ、和平を望む姿勢を表明しました。

しかし、ブランドは健康が悪化し、二度目の大陸会議への出席を辞退せざるを得ませんでした。それでも彼は地元の議会で活動し、バージニア憲法草案作成のための委員会に参加しました。

死去とその後の影響

1776年10月26日、ブランドはウィリアムズバーグで亡くなり、彼の故郷に戻されて埋葬されました。彼の名は、バージニア州のブランド郡とリチャード・ブランド大学に今も残されています。アメリカの独立に向けた闘志を抱き続けた彼の業績は、今日でも評価されています。

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