リノリウム

リノリウム：天然素材が生み出す、環境に優しい床材

リノリウムは、亜麻仁[[油]]などの乾性油を主成分とし、コルク粉や顔料などを混ぜて麻布に圧着させた床材です。1863年、イギリスのフレデリック・ウォルトン氏によって発明されました。当初は「カンプティコン」という名称でしたが、ラテン語のlinum（亜麻）とoleum（油）を組み合わせた「リノリウム」へと改名されました。

歴史：軍艦から現代の医療施設へ

発明後、リノリウムは世界中で広く使用されるようになりました。日本へは1919年、寺西福吉氏によってアメリカから持ち込まれ、「東洋リノリユーム（現在の東リ）」が創業されました。軍艦の甲板や公共施設、住宅など、幅広い用途で利用され、日本の近代化を支えました。高度経済成長期には、製造効率の高い塩化ビニール製の床材に取って代わられましたが、近年、環境問題への意識の高まりとともに再注目されています。

特徴：天然素材ならではの機能性

リノリウムは、亜麻仁[[油]]を煮沸・酸化して作られるリノキシン、ジュートなどの植物繊維、ロジン、木粉、石灰石などを原料としています。天然素材ならではの利点として、抗ウイルス性、抗菌性、脱臭効果などが挙げられます。そのため、医療機関や教育施設など、衛生面が特に重視される場所での採用が増えています。

また、バレエスタジオやステージの床材としても使用されています。リノリウムは、滑りすぎず、引っかかりすぎない適度な摩擦係数を持ち、ダンサーにとって最適な環境を提供します。

一方で、製造に時間がかかること、塩基性の床維持剤で黄変する可能性があることなどが欠点として挙げられます。黄変は修復が困難なため、清掃には中性洗剤を使用する必要があります。また、表面の油膜が剥がれると浸透性が高まり、床維持剤の乗りが悪くなるため、硬いパッドの使用は避けるべきです。

環境への配慮：持続可能な素材として

リノリウムは、天然素材を主原料とする環境に優しい床材です。近年、プラスチック製品による環境汚染への懸念が高まる中、リノリウムは持続可能な素材として改めて注目を集めています。その抗ウイルス性、抗菌性、脱臭効果は、シックハウス症候群対策としても有効です。

現在、リノリウムのメーカーは世界で数社しか存在せず、その多くはヨーロッパに拠点を置いています。リノリウムは、歴史と伝統、そして環境への配慮を兼ね備えた、未来志向の床材と言えるでしょう。

まとめ

リノリウムは、その歴史と機能性、そして環境への配慮から、今後も建築業界において重要な役割を担っていくと予想されます。天然素材ならではの特性と、時代が求める環境配慮の両面を満たすリノリウムは、これからの社会に不可欠な建材の一つとなるでしょう。

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