リマ症候群

リマ症候群とは

リマ症候群（Lima syndrome）とは、誘拐や監禁の犯人が人質と長時間接触することで、親近感を抱くようになる心理的な現象を指します。この現象はしばしばストックホルム症候群と対比され、犯人が人質に対して示す態度の変化について論じられます。

定義と背景

日本の警察白書では、リマ症候群は「犯人が人質に感化され、同一化を望む過程で、犯人が人質の文化を取り入れ、学習した結果、攻撃的な態度が緩和される」と定義されています。この現象は、誘拐という非道な行為の中でも、犯人が人質に対していかに心の変化を持つことがあるかを示しています。

語源

リマ症候群という名前は、1996年にペルーで発生した「在ペルー日本大使公邸占拠事件」に由来します。この事件では、テロリストグループが日本人の人質を交えた多くの人々を囚え、長期にわたる拘束の中で、なぜか人質に対して同情心を抱く場面が見られました。事件の発生から127日目、ペルー政府は強行突入を決行し、最終的には日本人の人質が危険を免れて無事脱出することができました。

リマ症候群の特徴

リマ症候群では、以下のような心理的特徴が観察されることがあります。

1. 暴力の回避: 誘拐犯が人質を傷つけず、むしろ保護しようとする態度を見せることがあります。
2. 自由の提供: 人質に一定の自由を与えたり、時には早期に解放する行動が見られることもあります。
3. 健康への配慮: 尋ねられた際、誘拐犯が人質の心身の健康を気遣う姿勢を見せることがあります。
4. 会話の増加: 犯人と人質の間で定期的に会話が行われ、互いの個人的な情報を共有することもあります。例えば、子供時代や人生の目標、願望についての話題です。
5. 約束や保証: 犯人が人質に対し、安心させるための言葉をかけることがあります。例として、「俺がお前を守る」「あなたには何も悪いことは起きない」といった発言があります。
6. 感情の芽生え: 時に、誘拐犯が人質に対して好意を抱いてしまうケースもあるのです。

文学と映画におけるリマ症候群

リマ症候群は、一定の文化的な影響を与えています。例えば、アン・パチェットの小説『ベル・カント』や、ポール・ワイツ監督による映画『ベル・カント とらわれのアリア』において、この現象を題材にしたストーリーが展開されています。

まとめ

リマ症候群は、心理学的に興味深い現象であり、犯人と人質の関係における思考や感情の変化を探るヒントを提供しています。ストックホルム症候群とともに、このような現象が社会にどのような影響を及ぼすかを考察することは、心理学の重要なテーマの一つと言えるでしょう。

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