リー・エンフィールド

Lee-Enfield ライフル：イギリス軍を支えた名銃

Lee-Enfieldライフルは、イギリスで開発されたボルトアクション式ライフルとして、1895年の制式採用から長きに渡りイギリス軍の主力小銃として活躍しました。その名称は設計者であるジェームス・パリス・リーと、王立小火器工廠があったエンフィールドという地名に由来しています。

開発の経緯

Lee-Enfieldは、1888年に制式採用されていたリー・メトフォード小銃の後継として開発されました。当初は黒色火薬を使用していましたが、無煙火薬への移行に伴い、高熱と高圧力に耐える改良が施され、銃身のライフリング形状が変更されました。この改良によって、銃身の寿命が大幅に向上したのです。

弾薬には.303ブリティッシュ弾を引き続き採用しました。これは政府がリム付き弾薬の在庫を有効活用するためでした。この決定は、.303ブリティッシュ弾を第二次世界大戦や朝鮮戦争まで使用し続けるという、意外な結果を生みました。

特徴と設計

Lee-Enfieldは、10発入りの着脱式ダブルカラムマガジン（複列弾倉）を備えていました。これは当時としては画期的な設計で、装弾速度を向上させました。ただし、マガジンの着脱には力が必要だったため、通常は装弾クリップを使用していました。当初、マガジンの紛失を懸念する声もありましたが、実際には問題なく運用されました。

ボルトアクションの操作はスムーズで、射撃訓練を受けた兵士であれば、1分間に20～30発の発射速度を実現できたとされています。これは当時のボルトアクションライフルとしては非常に高い発射速度でした。

各モデルと採用期間

Lee-Enfieldライフルには、長年の間に様々なモデルが存在しました。主なモデルとその採用期間は以下のとおりです。

Magazine Lee-Enfield (MLE): [1895年]]採用。銃身長は30.2インチ]の[歩兵銃と、21.2[[インチ]の騎兵銃が存在しました。
Short Magazine Lee-Enfield Mk I (SMLE Mk I): 1904年採用。銃身長は25.2[インチ]で、MLEより短縮・軽量化されました。新しい装填機構が導入されました。
Short Magazine Lee-Enfield Mk III (SMLE Mk III): 1907年採用。最も有名なモデルの一つで、照門や装填機構が改良されました。
*Short Magazine Lee-Enfield Mk III:* 第一次世界大戦中に、生産性を高めるために簡略化されたモデル。
Rifle No. 4 Mk I: 1939年採用。大量生産性を重視したモデル。
Rifle No. 4 Mk I:* 第二次世界大戦中に生産された簡略化モデル。
Rifle No. 4 Mk II: 第二次世界大戦後、改良が加えられたモデル。
Rifle No. 5 Mk I "ジャングル・カービン": 第二次世界大戦末期に開発された、軽量でコンパクトなカービン銃。

他にも、狙撃銃モデルや、訓練用ライフル、自動小銃への改造モデルなど、様々な派生型が存在しました。

世界中の戦場で

Lee-Enfieldライフルは、第一次世界大戦、第二次世界大戦、朝鮮戦争など、数多くの紛争でイギリス軍や英連邦諸国の軍隊で使用され、その信頼性と性能を実証しました。現在でも、一部の国々の治安部隊で現役で使用されているほか、狩猟や競技用として多くの愛好家から人気を博しています。その高い生産性と堅牢性、そして高い信頼性から、世界中の戦場を駆け抜けた名銃と言えるでしょう。

参考文献

Skennerton, Ian: The Lee-Enfield (2007) Arms & Militaria Press
Skennerton, Ian The Lee-Enfield Story (1993). Arms & Militaria Press
その他多数の文献

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